CELEBRATING 20 YEARS OF MENTORING ROLEX ARTS FESTIVAL
ジャンルや世代を超えたアーティストたちが触発し合う多目的なアートの祭典「ロレックス アート フェスティバル」。アテネでの数日間を通じて、その模様と成果を刻々と追った。
披露されたのは、メントーとプロトジェたちによる成果
![建築分野では、40代の女性建築家、パラグアイのグロリア・カブラルやニジェールのマリアム・カマラら比較的若手の5人の建築家たちのグループ展が開かれた。会場は、ギリシャのヘリテージをモダン建築に内包し、この国の歴史を総観できるベナキ博物館。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/1280wm/img_883951b41f1917d00119a4b869cde252180877.jpg)
2023年5月26~28日の3日間、アテネで「ロレックス アート フェスティバル」が開かれた。ロレックスの芸術支援プログラム「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」の20周年を祝うイベントだ。
集ったのは、アーティストやアート関係者、そしてジャーナリストたち。
![視覚芸術分野では、国立現代アート美術館EMΣTにて、2008-2009年度のプロトジェ半田真規を含む8人のアーティストたちによるグループ展が開催された。トークにはカミラ・ロドリゲス・トリアーナ(右)とタオ・グエン・ファン(中央)が参加。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/1280wm/img_58706ef0fde59d93f5920796a68b9804151320.jpg)
オスカー授賞式やパリ・オペラ座のスポンサーなど芸術支援にも積極的なロレックスは今回、メントーシッププログラムに参加したアーティストたちを世界各国から招いた。各分野の第一人者であるアーティストたちは“メントー”(指導者)。
一方彼らの、そしてロレックスの支援を受けた新進気鋭のアーティストたちは、生徒を意味する“プロトジェ”。彼らのペアリングをし、2年間にわたって彼らに創作的コラボレーションの機会を提供するのが、「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」である。
![アテネ・コンセルヴァトワールに設置された4つのインスタレーションの一つが、ダンサーで写真家でもあるアメリカのデジタル・アーティスト、ジェイソン・アキラ・ソンマによる「反復強迫」。通る人の動きがスクリーンに連写イメージとして投影される。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/f/1280wm/img_0f11138130fd1ed0555be7e639695d02145135.jpg)
過去には「ロレックス アート ウイークエンド」なるイベントで、そして今回はさらに盛大なフェスティバルで、20年間にわたる成果が発表された。ジャンルは多岐にわたり、映画、音楽、文学、視覚芸術、舞台芸術、舞踊、建築、そしてオープンカテゴリー。
フェスティバルではメントーシップの実りとしての新作が披露されただけでなく、トークやパーティなども開催され、アート・クラウドたちが交流してコミュニティを広げる機会にもなった。
![舞踊部門からは、2018-2019年度のプロトジェであるセネガルのダンサー兼振付師、コウディア・トゥーレ。アテネ・コンセルヴァトワールで、ギリシャを中心に多国籍のダンサーたちと新作「ÓRÓ」をエネルギッシュに踊った。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/d/1280wm/img_5da42009d8a230a39203e528b30a13aa205272.jpg)
![スタブロス・ニアルコス財団文化センターでのガラ・セレモニーの際に上演されたのが、本フェスティバルのために特別に創作された「アルテミス:Fountain」。作曲家パウチ・ササキとギリシャのコーラス団によるパファーマンスには、ライトアップされた噴水が華を添えた。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/b/1280wm/img_0bc9fba91b1356580e12e8720462873d195506.jpg)
![既存のパフォ―マンス[÷]v.0.8 : Boléroを、会場Ω2のインスタレーションに合わせてアレンジし披露したのは、舞台芸術分野のセバスチアン・ソロルザノ・ロドリゲス。光と影、そして彼自身の呼吸の音で観客を包み込んだ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/1280wm/img_38a4a6bda8e2d7a553c068ff7762c097175707.jpg)
また期日に先んじてはプレフェスティバルが行われ、トークやリハーサル、展覧会のドアは一般客にも開かれた。
昨今ではファッションやラグジュアリーブランドのいずれもがこぞってアーティストとのコラボレーションや展覧会の後援をしているが、ここまで綿密で意義深いプログラムを組んでいるブランドはそうそうないだろう。
![「新たなる遺産」と題されたトークでは、アート全般が社会、カルチャー、そして環境問題に及ぼす影響が討議された。司会は、ウィリアム・ケントリッジ。視覚芸術分野のメントーを務めた彼は、アニメーションから絵画、スカルプチャーまでの多様な表現で人種差別と闘う、南アフリカのアーティスト。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/1280wm/img_63fcab23e2086e0385be990b8d562638112885.jpg)
![クロージングイベントでは、エジプトや米国のアーティストによるアンサンブルのコンサートが開かれた。エジプトのシンガー、ディナ・エルウェディディ(写真右)のメントーでもあったジルベルト・ジル(写真中央)が、スペシャル・ゲストとして参加。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/a/1280wm/img_aa1f0ad2e7c452905bbacc16886e7c90208613.jpg)
アテネは言わずと知れた、古代からアートが栄えた地。芸術の女神ムーサが見守る中、ロレックスとアートの関係はさらに輪を広げていった。
「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」の詳細
![](https://crea.ismcdn.jp/common/images/blank.gif)
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.07.21(金)
文=乗松美奈子
写真=ROLEX
CREA Traveller 2023 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。