露天風呂と釣りが同時に楽しめる天国のような空間

 さらに外へ出ると、すぐさま縁側と一体になったお風呂が目に入る。

 シャワーも水道もないシンプルにして大胆な木造の露天風呂。お庭を挟んだ先はただ七尾湾が広がるだけの圧倒的開放感。湯船の温度は40℃くらいだろうか、長風呂にも適しており入浴が楽しみでしかたない!

 そして今回の最大の目的でもある釣りができるお庭も広々としており、3m未満のコンパクトロッドであれば振りかぶって投げることもできそうだ。

 垣根にロッドを立てかけて湯船でアタリを待つこともできるだろう。想像を膨らませながらまずは釣りの支度をした。

 

果たして何が釣れるのか?

 多田屋ではお食事付きプランの宿泊者を対象とした調理サービスを行っており、釣った魚を持ち込むと、その日の夕食や翌日の朝食の一品にしてもらえる(魚のサイズによって1匹/220~1600円の調理代金が必要)。調理サービスは本館の醍醐味の1つでもあるので、何としても魚を釣りたくて道具をたくさん持ってきたわけだ。

 ただし、夕食に間に合わせるためには、当日の18時までに魚を引き取ってもらう必要がある。現在時刻は16時半。館内の撮影に夢中になり15時のチェックインからだいぶ時間が過ぎてしまった……。

 ちなみに釣りの禁止事項は「建物を破損させる行為」のみで恐ろしく寛大な設定ではあるが、コマセなどの撒き餌を使った釣りは庭を汚してしまう恐れがあるため自主規制した。

 早速、堤防からキスを狙うちょい投げ仕掛けに虫エサを付けて投入。完全にプライベート空間での釣りなので期待値は大きい。

 30mほど投げても水深は2~3mほどで、射程圏内は遠浅みたいだ。ならばと広範囲を探っていると、足元付近に投げた仕掛けにアタリが出た。

 小気味いい引きで上がって来た魚はシロギス!

 小型ではあるが嬉しい1匹。キスは群れで行動するため同じポイントに仕掛けを投入すると、今度は可愛らしいサイズのヒイラギが釣れた。

2023.07.22(土)
文=ぬこまた釣査団(大西)