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観察会は3年目のリピーターも

──「植物観察会」に継続的に参加すると、誰でも植物に詳しくなれるのでしょうか。

鈴木 「植物に詳しくなる」というよりは、名前が分かるようになると、植物それぞれの個性が見えるようになってくるので、間違いなく植物の観察が楽しくなると思います。

 それに、植物の観察って「ここまで」という終わりがないんですよ。いま年間観察会は継続3年目の方が多いんですが、1年目は葉っぱしか見ていなかった木を、2年目は花、3年目は新芽というように、どんどん解像度を上げて観察することができます。また、花や実は1年に1回なので、見逃したら「宿題」として、また翌年観察する楽しみができます。そうやって、植物と仲良くなっていけるのが、また楽しいとみなさんおっしゃいます。

──「植物の名前を覚えられたらかっこいいから」という不純な目的で植物観察会に参加するのはダメでしょうか。

鈴木 「植物の名前を覚えたい」というのは、立派な動機だと思います。でも、植物観察は勉強ではないので、やみくもに「名前を覚えよう」と思っても興味が続かないと思います。

 それよりも「植物の名前を覚える」というところから一歩進み、ソメイヨシノやハナミズキなど、誰もが知っている木の花をターゲットに、花が終わったあとの葉っぱの姿を考えてみたり、ドングリやミカン、カキなど実のなる木の花を観察してみたりするなど、自分なりのテーマを見つけると、自然と名前も覚えていけると思いますよ。

──「わざわざ学ぶ」のではなく、まずは植物に興味を持つことが大事なのですね。これからの季節でおすすめの植物観察ポイントがあれば教えてください。

鈴木 6月は梅雨の季節なので、雨の時の植物の様子を観察すると面白いと思います。たとえば、「シロツメクサは水滴を弾くのにヒメジョオンはあまり弾かない」とか、「雨を弾く葉と弾かない葉を見つける」などをテーマにするも面白いですよ。

 幹の様子を観察するのもおすすめです。ケヤキは幹に水が流れるので雨が降ると幹までぐっしょり濡れますが、クスノキは幹があまり濡れないんです。そういう視点でいろいろな木を観察してみることもできます。

 植物観察は、特別にどこかに出かけていかなくても、いつも通る道で、生活のついでにできる楽しみです。植物は季節に応じてその姿を変えるだけでなく、朝と夜とでも目まぐるしく変化するので、いつもと同じ場所、同じルートでも飽きることがありません。

 それに、植物観察を続けると、季節の変化を肌で感じることができるようになります。植物と自分がつながったような気がして、いつもの道も「特別な道」に変わります。ぜひ身近な場所で、植物を探してみてほしいですね。

まちなか植物観察のススメ

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次の話を読む「植物と同じ風のふくままに…」 まちなか植物観察家・鈴木純の 夢を決めない働き方〈観察会は一晩で満席に〉

2023.06.01(木)
文=相澤洋美