この記事の連載

■自分の事情を想像してくれたかどうか、が大事

【4】おっしゃることはよくわかるのですが

その方法では、間に合わなくなってしまいます。
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おっしゃることはよくわかるのですが、その方法では、間に合わなくなってしまいます。

 相手は明らかに無茶を言っている。どうしても受け入れることはできない。そんな場面で不毛な言い争いを避け、相手にもそれなりに納得して引いてもらう最大のコツが、まず「相手を受け止める」「相手の立場や心情を想像する」ことです。口先だけでなく、相手側に一度立ってみると、それは相手にもちゃんと伝わります。

 そのあと、自分の意見につなげていくと、今度はあなたの側の立場や心情を相手も想像してくれる可能性が高くなります。自分が正しい、自分の考えを通したい、こうしてもらわないと困る! と一方的に主張するのではなく、「お互いにいい結果を目指しましょう」という姿勢を見せることが大切です。

*類義語

・ここは意見の分かれやすいところですが
・お立場上、そうおっしゃるのはよくわかりますが


●ワンポイントアドバイス

相手の立場ももちろんわかります、と一度相手側に立とう。

■相手のプライドも傷つかない

【5】少し心配なのですが

Aさん:お客さまも気に入ってくださっているし、要望通りに進めてみましょうか。
Bさん:ご要望の納期に間に合いますか?
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少し心配なのですが、ご要望の納期に間に合いますか?

 相手がある程度の確信を持っている考え方ややり方、既に多数の人が合意していることなど、今にも走り出しそうなプランに対して、反対意見や心配事を言ったり、確認や見直しの提案をするのは勇気がいるものです。せっかくのよい雰囲気に水を差すと思われるのも避けたいですね。

 ただ、とくに業務については、疑問点や不安なこと、抜けを見つけたら、間違っているかもしれないと思っても、早い段階で伝えておくに越したことはありません。

 そんな場合に使えるのが、このちょい足しことば。あくまで「私が心配性で、ちょっとだけ気になってしまって……」といったニュアンスで、見落とされていることを指摘できます。このちょい足しがあるだけで、「意見を批判・否定された」「見落としを指摘された」といった強い感情を相手に起こさせない効果があります。

 意見を通したいとき、反論をしたいときでも、大きな声で強いことばを使わず、一緒に考えてもらうかたちに導きたいですね。そうすると、もしあなたの意見が採用されたとしても、ともに考えたプロセスがあるだけで、その後がスムーズに進み、よい仕事になるはずです。

●ワンポイントアドバイス

自分が心配だから、というかたちで不安を伝える。

2023.05.18(木)
文=今井登茂子
構成=三宅智佳
撮影=釜谷洋史