久々のノーマスクで、可憐な笑みを見せる佳子さま。鮮やかなブルーの装いといい、快晴に映える桜のようだ。3月16日、水戸市・偕楽園で開催された「左近の桜」植樹式典でのお姿である。

「佳子内親王殿下が招かれたのは、女性皇族と所縁の深い桜だからでしょう。平安時代から京都御所で植え継がれており、1831年、水戸藩主の徳川斉昭に有栖川宮家の王女が嫁ぐにあたって、仁孝天皇が苗木を下賜したといいます」(皇室解説者の山下晋司氏)

 今回は三代目の植樹だ。根元に土をかけ「(咲くのが)楽しみですね」と語った佳子さまは、同日、水戸聾学校を訪問。こちらでは口の形が読み取れる透明マスクを着用し「手話」で話に花を咲かせた。

「公務の多くは眞子さんから引き継いだものですが、手話はご自身のライフワーク。フィギュアスケートやダンスで培った、体で表現する力が感じられます」(同前)

手話通訳士が見た佳子さま「ならではの努力と工夫が…」

 手話通訳士の南瑠霞氏(ドラマ『オレンジデイズ』『星降る夜に』などで手話指導を担当)は、佳子さまの手話を間近で見た一人だ。

 

「毎年参加されている『全国高校生 手話パフォーマンス甲子園』でのお姿です。佳子さまは若い世代へ『一緒に手話の輪を広げよう』と積極的にメッセージを届けていらっしゃる。開会式のご挨拶では、会場に集った大勢の高校生を前に、いつも非常に丁寧な手話で語りかけておられます」

 大会前夜には、関係者による交流会が開かれる。佳子さまも学生をはじめ、様々な人の輪に入り、和やかにお話されていたという。

「手話パフォーマンス甲子園では、佳子さまが、ろうの人たちとも通訳を介さずお話しされている様子をお見掛けします。聴者にとって難しいとされる手話の読み取りができなければ、このように自由に話すことはできません。日頃からしっかりと聞こえない人と語り合うための手話を学んでおられることがわかります。

 手話は大きく分けて、ネイティブのろう者が話す、日本語とは違った文法を持つ『日本手話』と、音声の言葉に合わせて手話の単語を並べていく『音声(日本語)対応手話』 の2つがあります。佳子さまは、式典などの壇上では、音声の言葉を話しながら手話を同時に表現されています。これは、聞こえない人に手話を見てもらうとともに、声を付けることで、それが何の話なのか一般の聞こえる人にも、同時に伝わる方法だからだと思います。

2023.04.20(木)
文=「週刊文春」編集部