伝統工芸とモダンデザインの融合

【since 1908】釜定「南部鉄器フライパン」

 日本を代表する工芸品の一つが岩手・盛岡の南部鉄器。江戸時代中期以来、約400年近くこの地に根ざし、主に鉄瓶などの茶道具を中心に栄えてきた。

 「釜定」は1908年創業。現在、3代目の宮 伸穂氏がその伝統を受け継ぎながら、モダンで新しい、今の暮らしになじむ鉄器の数々をデザインしている。

 ステンレスの4~5倍ともいわれる熱伝導のよさ、北欧のデザインとも共通するムダのない機能的な美しさは、まさに一生モノ。結婚祝いや新築祝いなどにも喜ばれそう。

「下地の熱処理や手間から生み出された独特の質感は“釜定ブラック”と呼ばれ、“いつかは釜定”という憧れの台所道具です」(日野さん)

designshop

所在地 東京都港区南麻布2-1-17 白ビル1F
電話番号 03-5791-9790
営業時間 11:00~19:00
定休日 土・日曜、祝日
https://www.designshop-jp.com

貫入が美しい滑らかな肌ケーキやフルーツをのせて

【since 1874】沈壽官窯「CHIN JUKAN POTTERYコンポート」

 400年以上の歴史を持つ鹿児島の薩摩焼。白い生地に美しい絵付けを施した「白薩摩」、鉄分の多い土で作られた「黒薩摩」があり、1867年、パリで開かれた万博にも出展された。

 現在15代目。伝統を守りながら2008年に新たなブランドとして生まれたのが「CHIN JUKAN POTTERY」だ。

 沈壽官窯と、家具や内装の設計、インテリアショップの運営などを行う「ランドスケーププロダクツ」とのコラボレーション。モダンでありながら薩摩焼のエレガントな側面を感じられる。

「薩摩焼の沈壽官窯は私もいつか訪れてみたい窯元の一つ。CHIN JUKAN POTTERYシリーズは日常使いできるカジュアルなデザインですが、薩摩焼本来の重厚な質感も魅力です」(日野さん)

チンジュカンポタリー喫茶室

https://chinjukanpottery-store.com

氷を入れたときの美しさ 持ちやすさも格別

【since 1910】木村硝子店「ロックグラス」

 1910年の創業時から業務用のテーブルウェアをつくり続ける老舗のガラスメーカー。自社の工場を持たず、多くのガラス職人や工場と協力しながら、オリジナルのグラスをつくっている。

 関西の割烹、料亭で定番となっている極うすグラス、フレンチやイタリアンレストランで使われている極細ステムのワイングラスなど、繊細で美しく、かつ業務用ならではの堅牢さを併せ持つグラスは一般の人でもネットショップなどで購入可能。

 写真のロックグラス「クランプル オールド」は1980年、デザイナーの小松誠氏とのコラボレーションで誕生した。

「100年以上業務用のグラスをつくり続け、プロが信頼するガラスメーカー。写真のクランプルはMoMAのパーマネントコレクションにも所蔵されています。持ちやすさも抜群」(日野さん)

木村硝子店

電話番号 03-3834-1781
https://www.kimuraglass.co.jp/

ひとり問屋 日野明子(ひの・あきこ)さん

日々、全国各地のものづくりの生産者を訪ね歩き、生活雑貨・日用品の問屋業を個人で行う。著書は『台所道具を一生ものにする手入れ術』(誠文堂新光社)ほか。
嬉しかった贈りもの:取引先の方にいただいた仕事に使える大きなバッグ。

2023.02.23(木)
Text=Yoko Maenaka(BEAM)
Photographs=Suguru Ariga

CREA 2023年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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