コースのテーマは“フォッサマグナ”!
そんな長屋シェフが提案するコース。「フォッサマグナ」と聞くと、遠い昔に地理で習ったような……という記憶があるくらいだけれど、ラテン語で「大きな溝」の意味。白馬村は遠い昔、その溝=海の底にあったそうです。
長屋シェフは今回、自然が生む信じられない風景や、大地の秘めた力を料理で表現しています。
アミューズは、木箱に納められて。蓋を開けると白煙が立ち上り、白馬三山の朝もやの風景を再現しています(浦島太郎のオマージュかとも思いました)。
こちらは地元でとれた天然きのこのムース。白馬産のミルキークイーンのクラッカーにのせてあり、今は長野にはない、太古の海をイメージさせるボタンエビが潜んでいます。
その名も「フォッサマグナ」と名付けられたのは、とても熱く、濃厚なスープ。大地の奥底からマグマが噴き出すイメージで、スープの中に、香箱ガニやホタテといった海の幸と白馬の野菜が同居しています。
長野が誇る地元野菜と発酵食品の相乗効果
こちらは、白馬の野菜と向き合ったひと皿。標高1,000メートルを超える上松町芦島地区で作られている伝統野菜の赤カブ「芦島蕪」は、食感を残しつつ甘みをギリギリまで引き出す調理法を模索。結果、4時間ほどもゆるゆると加熱するのだそう。そして地元のおばあさんが伝統の製法で仕込んでいる「玉仕込み味噌」をバーニャカウダ風のソースに仕立てて添えています。
こちらは愛らしいベジタブルバーガー! 名前の「モルゲンロート」とは、北アルプスに朝日が当たり、山が赤く照らされる様子のこと。パンにビーツを使って赤く染め、ホクホクとした綿内蓮根のコロッケと、ウリの粕漬や野沢菜がピクルスのように使われたグリビッシュソースが心地いい食感です。
特注の薪と炭を同時使用できる焼き台がすごい!
さて、メインはもちろん精肉卸ヤザワミートの真骨頂である。厳選した黒毛和牛を適正に熟成し、塊のまま特注の薪炉で焼き上げる。
表面はがりがりっと感じるほどクリスピーで、香ばしさと牛肉らしい香りが鼻をくすぐります。なんて力強い味なのかと思わず目を閉じてうっとり。ヤザワミートが威信をかけて特注した焼き台の本領発揮、その凝縮感には驚かされるばかりです。
コースのテーマを「フォッサマグナ」に据えたコースは、ふつふつとたぎる太古の地球のような情熱が感じられます。そして、シンプルなステーキは、マグマの噴火。五感が振るわされるおいしさです。
季節によって様々彩りを見せてくれる白馬村を訪れ、長野食材の魅力に酔い、ステーキで感動する。そんな夜を過ごしてみませんか?
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灼麓館(シャロッカン)
所在地 長野県北安曇郡白馬村北城1278-23
電話番号 0261-85-4696
営業時間 17:00~23:00 (L.O.22:00)
定休日 不定
https://kanolly.com/sharockan/
2023.02.01(水)
文=CREA編集部