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レンガ造りの教会は美しさにも注目!

 ド・ロ神父の指導によって1897年に敷地が造成され、1920年に完成したのが黒崎教会です。レンガ造りが特徴で、レンガは信徒がひとつずつ積み上げたもの。

 内部はゴシック建築でよく見られるリブ・ヴォールト天井が採用され、造形的な美しさも見どころとなっています。ステンドグラスも印象的なので、お見逃しなく。

 遠藤周作の小説「沈黙」の舞台にもなっています。

黒崎教会

所在地 長崎県長崎市上黒崎町26
電話番号 095-893-8763 (長崎巡礼センター)
開館時間 9:00~17:00
※ミサや冠婚葬祭時には不可の場合もあります。
※閉まっている場合もあります。
拝観料 無料
定休日 なし

角力灘の絶景とともに遠藤文学に浸る贅沢

 キリシタンの里として知られる外海地区の海沿いにあるのが、長崎市遠藤周作文学館です。

 周辺地域は、1971年には篠田正浩監督、2016年にはマーティン・スコセッシ監督によって映画化された小説「沈黙」の舞台でもあります。

 12歳の時に夙川カトリック教会で受洗した遠藤周作は、「沈黙」をはじめ、「最後の殉教者」、「死海のほとり」などキリスト教を題材にした小説を数多く執筆したことで知られています。この文学館は、遠藤の没後に残された約3万点にも及ぶ、生前の愛用品や遺品、生原稿、蔵書などを通して、その生涯や足跡を知ることができる場所となっています。

年表とともに生涯を丁寧に振り返る

 展示室では、遠藤の生涯を「少年時代」「大学時代」などと区切り、年表とともに振り返ることができます。書斎も再現されているので、特にデスクワーカーの人は自分の環境と照らし合わせながら興味深く見られるのでは。

 聴濤室では、遠藤が趣味にしていた囲碁盤を見ることができます。

 また、2年ごとにテーマを変えて企画展を開催。2023年3月26日からは、生誕100年特別企画展が開催予定です。

目前に広がるパノラマに心が洗われる思索の空間

 遠藤が「神様がぼくのためにとっておいてくれた場所だ」と喜んだのが角力灘の風景。

 その広大な海を眺めながら、本棚に並ぶ小説を手に取り、遠藤文学の世界に浸れる場所が「思索空間アンシャンテ」です。

 海沿いを向いた椅子とテーブルによって、圧巻のパノラマを存分に味わうことができます。

遠藤が眺めた風景を追体験しながら小説を読む愉悦

 忙しい日々を送っている人も、ここでゆっくりと自分の内面と向き合うことで、これまでの人生を見つめ直し、未来に思いを馳せるのもいいでしょう。

 2023年は、遠藤周作生誕100年を迎えます。特別企画展が開催されたり、公式ガイドブックが創刊されるなど、さまざまな記念事業が予定されています。

 遠藤文学を通して、さまざまな知識や自分自身への気づきを得られる場所が「長崎市遠藤周作文学館」なのです。

長崎市遠藤周作文学館

所在地 長崎県長崎市東出津町77番地
電話番号 0959-37-6011
開館時間 9:00~17:00(入館受付は16:30まで)
観覧料 一般360円、小・中・高校生200円
休館日 12月29日~1月3日
http://www.city.nagasaki.lg.jp/endou/

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2022.12.30(金)
文・写真=石川博也