代表作『アラサーちゃん』では、恋愛やセックスにまつわる女性たちの本音を描き出した漫画家の峰なゆかさん。12月2日に2巻が発売されたコミックエッセイ『わが子ちゃん』(扶桑社)では、自身の妊娠・出産や育児について描いているが、やはり本音は隠さない。

 ここでは、無痛分娩を選択した峰さんの想像以上に壮絶な出産体験や、「わが子ちゃん」と対面したときの感覚について伺った。(全2回の1回目/後編を読む

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「あっ、皆もやっぱり流産が怖かったんだな」

――『わが子ちゃん』1巻が今年の4月に出てから7カ月ほど経ちましたが、反響はどうでしたか。

峰なゆかさん(以下、峰) 絶対炎上すると思ってたんですよ。1巻では妊娠初期・中期を描いているので、初期流産についての話が出てくるんですね。他の妊娠・出産漫画で流産の怖さが描かれることはあまりないじゃないですか。

 初期流産の確率が6分の1ということを知って、その不安をわかりやすく伝えるためにロシアンルーレットで例えて描いたりしたので、もしかしたら不謹慎な印象を与えてしまうかなと思って。

 でも、読者からはむしろ「共感する」って反響が多くてすごくびっくりしました。あっ、皆も口にしないだけでやっぱり流産が怖かったんだな、と思って。

 妊娠したばかりの頃、流産が怖くてお腹の赤ちゃんに対する愛情を持ち過ぎないように気をつけていたことも1巻に描いたんですが、これも「私もそうだった」って意見が多かったんです。

――峰さんが「炎上する」と思っていたように、「そんなこと言っちゃダメだ」と思っていた人が多いんでしょうか。

 どうなんでしょう。私の場合は、まあ炎上しても銀行口座からお金が減るわけじゃないから別にいいか、みたいな気持ちもあったんですけど(笑)。でも、口に出すことがはばかられがちな流産についても描いたことで、読んでくれた人が、「みんなそうだったんだ」と不安を共有して少しでもラクになれたんだったらよかったなと思います。

2022.12.25(日)
文=「文春オンライン」編集部