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インスタでは愛犬のつぼみちゃんを投稿

──最近積極的にInstagramの投稿を行っています。これも新しい挑戦のひとつですか?

 実はInstagramはかなり前からやっていたんです。でも頻繁に更新するようになったのはここ1年ぐらいですね。コロナ禍でツアーもできなくなった影響もあり、コツコツと続けるうちに、次々と新しいアイデアが生まれました。スタッフもどんどんアイデアを出してくれるので、まわりの声も聞きながら、枠を拡げている感じです。

──愛犬のつぼみちゃんとの投稿や、「ボクコーデ」「ボクトレ」とハッシュタグをつけた郷さんのコーディネートやトレーニングの様子など、プライベートが垣間見られるような投稿も大人気で、いまやフォロワー数11.4万人を超えています。

 愛犬の投稿は、「つぼみとひろみ」という語感が面白いなと思って始めたんですけど、いい成長記録にもなっていて、僕自身も楽しみながら投稿しています。つぼみは最初真っ黒だったんですよ。大きくなるにつれて色が抜けてシルバーになってきたので、最初の頃の投稿を見返して「こんなに小さかったんだなぁ」、「こんなに黒かったんだ!」と思い出したりしています。

 僕は本来、「君子危うきに近寄らず」で、自分から危険なことや不確実なことには近づかないタイプなんですけど、僕にないアイデアや意見が出た時は、それが必要だと思えばやるようにしています。「これは僕には無理」と限界を作らずに、新しいことにもどんどん挑戦していきたいと思って、Instagramもリール動画を投稿したり、ハッシュタグを付けたり、新しいこともどんどん取り入れています。

 何十年もショーをやっていれば、体調が芳しくないときもあります。ですが、「今日は調子が悪いかも」というエクスキューズを僕はしたくない。だって、せっかく楽しみに来てくれた方にとっては大切な1回だけのショーですから。だからまわりのスタッフは、僕が「できない」と断る言葉を聞いたことがないんじゃないかな。

──「できる」「できない」の行動基準はどう決めているのですか?

 「郷ひろみ」としてやるべきかどうか、ですね。これは郷ひろみならやるのか、やらないのかと考えれば、自ずと答えは出ます。たとえば先ほどの新曲に関しても「この歌は郷ひろみなら歌うのかな? 歌わないのかな?」と問いかけると、線引きができるんですよ。もちろん判断を誤ることもありますが、基本的にポジティブ思考なので、反省はしますけど、後悔はしません。

──すべての基準になっている「郷ひろみ」は、アイドル、歌手であり、俳優、エンターテイナー、実業家でもあります。肩書きにこだわりはありますか?

 いろいろな呼ばれ方をしてきましたが、肩書は僕が決めることではないと考えています。極端に言えば、見る人が決めてくれたらいいと思っています。

 バラードを歌っているから「大人の歌手」と呼んでほしいとか、逆にずっと「アイドル」と呼んでほしいとか、それは僕が求めたり決めたりすることではないと思っています。僕としてはただ、ずっと「郷ひろみ」を続けているだけ、という感覚です。それは50年続けてきた今だから言えるのかもしれませんね。

2022.12.25(日)
文=相澤洋美