デジタルの発想をアナログに持ち込むのは“逆輸入”にも思えるが、『マインクラフト』を遊んで育った世代にとっては、極めて自然なことなのかもしれない。『マインクラフト』は、平成時代を代表する重要なゲームタイトルのひとつなのだとあらためて感じた。
そもそも、どうしてこんなに精巧なジオラマを…?
2020年以来、模型作りが隠れたトレンドになっている。コロナ禍で外出自粛が叫ばれるなか、“おうち時間”をつぎ込むのに勝手がいいからだが、MAJIRI氏がプロモデラーとしてデビューした陰にも、新型コロナの影響があった。
「大学でソーラーカーを作るサークルに入っていたんですが、コロナの影響で集まれなくなって、全然作業ができなくなりました。それまで打ち込んでいたものがなくなっちゃって。その代わりに、ひとりでもできるジオラマ作りを始めてみたんです」
小学生の頃に地元の景色をジオラマ化した経験こそあれ、当時は他のモデラーとの交流も乏しく、プラモデルに至っては“挫折”するほどだったという。
「プラモデルって、組み立てる順序が決まっているのがつらいんですよね。それよりも、一から自分で作れる都市ジオラマのほうが、喜びが大きかったです」
大学で建築を学んだこともジオラマ製作の助けになったという。卒業後は東京のミニチュア・テーマパークに就職するも、プライベートで始めたジオラマ製作のYouTubeが話題になり、帰郷し独立。現在ではプロモデラーとして活動するかたわら、自ら設計し3Dプリンタで出力したパーツの販売も手掛けている。
「この室外機のほか、ゴミ袋や酒瓶のケースといった、超小型でマニアックな部品を扱っています。大手メーカーからは出ないタイプの製品だからか、これが意外と買ってもらえるんですよ(笑)」
パソコン、プリンタ…“意外と普通”な機材でなぜここまでの作品が出来るのか
ソーラーカーの部品を作るために用意したレーザーカッターは、模型作りにも役立った。パソコンからデータを送ることで、設計図通りピッタリと厚紙を切り抜くことができる機械で、値段は20万円ほど。ほとんどの建物は、このレーザーカッターで切り出した部品同士を接着して構成している。
2022.12.05(月)
文=ジャンヤー宇都