2022年後半のイタリアは、マスクやパンデミック報道はいつの間にかフェイドアウトし、すっかり日常回帰モード。入国時のPCR検査陰性証明提示なども免除され、旅行熱を溜め込んだ欧米の観光客が続々と押し寄せている。
あたかも14世紀のペスト後に、ルネサンス運動がやってきたかの如く再生し続けるフィレンツェ。街全体がヘリテージの古都の底力は未知数だ。
パンデミックを経て、華麗に衣替えした宿泊施設のオープンが続いた。世界屈指の芸術の都でしか味わえない極上ステイを満喫したい。
フィレンツェとトスカーナの極上ステイに、おすすめの宿を6回に渡りご紹介。
山の幸と神秘が融合する森のファインダイニング
◆Borgo I Tre Baroni(ボルゴ・イ・トレ・バローニ)

フィレンツェから車で東へ1時間半ほどのフォレスト・カゼンティネージ国立自然公園は、世界遺産にも登録された広大なブナの森、世界最古の薬局を持つ戒律厳しいカマルドリ修道院などがあるサンクチュアリゾーン。

そんな森の入り口にある「ボルゴ・イ・トレ・バローニ」は、その名の如くバローニ3兄弟が経営する峠の旅籠であったが、2017年から3年がかりでスパやプールを完備したリゾート・ホテルにリニューアル。


そのメインダイニング「マーテル」が、気鋭グルメレストランとして今、ひそかに評判を呼んでいる。
シェフは三男のフィリッポ氏で、音楽やアートを愛し、とりわけ心酔したのが森の食材のポテンシャルとご近所さんの修道院秘伝の野生食材知識。

専用ラボで一緒に研究を重ね創作した、トスカーナの森の幸を昇華したオリジナルレシピは、野趣とラグジュアリーの美しきマリアージュ、五臓六腑に染み渡る旨さだ。

スパ付きの客室もあるので、森林浴と美食を心ゆくまで満喫したい。

Borgo I Tre Baroni(ボルゴ・イ・トレ・バローニ)
所在地 Via di Camaldoli 52, 52014 Moggiona, Arezzo, Toscana
電話番号 +39 0575 556204
客室数 18室
料金 1室 70ユーロ~
https://itrebaroni.it/
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2022.11.16(水)
文=大平美智子
撮影=仁木岳彦
CREA Traveller 2022 vol.4
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。