ハッピーターンという商品名も、「幸せ(ハッピー)がお客様に戻って(ターン)来る」ようにとの願いが込められています。
――味わいや見た目など、普通のお煎餅とは少し異なります。
林 それまでのお煎餅は、どちらかというと堅焼きでしょっぱい醤油味のものが主流でした。そうした、いわゆる“お煎餅”の概念を払拭し、甘じょっぱく、かつ洋風のお菓子のようなイメージのお煎餅を作りたいと開発したのがハッピーターンなのです。
とはいえ、西洋の製法や味付けなどを真似したわけではありません。そこはあくまで“イメージ”です。
食べ出したら止まらない味わいの秘密は……
――では、製法や味付けにはどのような工夫がされたのですか。
林 製法は、それまでは網焼きであったものを、鉄板焼き製法に変えています。また、従来なかった「パウダー」で味付けをするという製法も採用していますね。甘いような、しょっぱいような……食べ出したら止まらない味わいの秘密は、表面に「パウダー」をたっぷりつけているからなのです。
――45年以上もの長い間で、コンセプトや製法、味わいなどが変わることはなかったのでしょうか?
林 当初は「不景気で暗い時代に人々へ幸せをお届けする」というコンセプトでしたが、販売している間に時代背景は大きく変わりました。しかし今も「お客様に幸せをお届けする」というコンセプトは変わらないですね。
ただ、味わいや製法に関しては、実はマイナーチェンジを繰り返しています。お客様はあまり気づいていないかもしれませんが、時代の変化やお客様のニーズに合わせてより美味しく感じていただけるよう、常に試行錯誤しています。
――具体的にどんなマイナーチェンジを行ったのですか。
林 2005年に実施した、お煎餅の表面に複数の溝、通称「パウダーポケット」を付けることでパウダーがさらに付着するようにしたリニューアルは有名ですね。この溝にたまったハッピーパウダーによって、甘じょっぱい美味しさが口いっぱいに広がるのです。これがハッピーターンの魅力のひとつになっています。
2022.11.08(火)
文=永見 薫