コスメ研究の第一人者を迎え技術開発や人材育成にも注力

 佐賀県では、コスメ業界の未来に貢献する技術や人材を輩出するべく、新たな技術開発や人材育成にも力を入れています。

 大手化粧品メーカーで20年以上も商品開発に携わってきた研究者の徳留嘉寛さんを佐賀大学の特任教授として迎え、県内企業との共同開発をおこなったり、若手研究者の育成に取り組んでいるそうです。

 「自分が佐賀に拠点を置いたことは学界ではかなりインパクトがあったようで、「なぜ佐賀に?」とよく尋ねられます。その理由は「おもしろいから」。関東にはない珍しい農産物が多いし、地方自治体と国立大学がタッグを組んでコスメ事業にかかわっているなんてかなり進んでいるなと感じました。

 研究をとおして生産者と消費者とのあいだをうまくつないで、コスメに関わる人みんなが幸せになれるようなことで佐賀を興していけたらいいですよね」(国立大学法人佐賀大学特任教授 徳留嘉寛さん)

行政が近い・佐賀だからこそできること

 コスメビジネスをしやすい環境が整っていることも佐賀県の強み。「薬草園」は、漢方やコスメ原料となる植物の試験栽培をおこなう玄海町の施設で、予約制でハーブティーを自分好みに作って味わえるワークショップも体験でき、薬草を身近に感じることができます。

 その他にも、企業が化粧品の分析を依頼できたり、化粧品の効果を測定する機器を使わせてもらえる県営の研究施設などがあるそうです。

 続いて訪れたのは、2018年に地域の人とともにつくりあげた唐津市の工場「FACTO」。奈良県に本社を置くクレコスという会社が唐津市と協定を結び、この工場を借り受けてコスメをつくっているそう。

 地域の人々、障がいのある方々と連携し、地産素材を活用した商品をつくっているということも印象に残りました。

 「唐津に工場をつくった理由は「行政が近い」からです。佐賀県や唐津市のように行政にコスメの部署があって、自分たちのような小さい企業の話も吸い上げてもらえるし、一緒に考えてくれる。面白いことができそうだなと思いました。

 社会貢献は特別なことという意識ではなく「当たり前のこと」として母の代からやっています。例えば食事のとき、「どこ産のお米」というのは知りたいはずで、コスメの原料もそれと一緒。トレーサビリティのしっかりしたものをつくるなら、原料から自分たちでやればいいのでは? という発想になりました。

 耕作放棄地を活用するなど、地域の活性につながると感じた気づきを行動にして、それを繰り返してきて今があります」(株式会社クレコス代表取締役社長 暮部達夫さん)

 県では、こうしたリソースも活かしながら、、革新的なビジネスモデルを描くスタートアップの支援プログラムも実施しています。このように、公営の施設を活用しながらチャレンジできるのも、「コスメティック構想」の魅力ではないでしょうか。

2022.09.26(月)
撮影=羽田徹(biswa.)