演劇に特化した博物館と広大な大名庭園

◆アジア唯一の演劇専門博物館「エンパク」

 国際文学館(村上春樹ライブラリー)のすぐ奥に、柱や筋交いなどの木の構造材がむき出しになっているハーフティンバー様式を外観にあしらった建物があります。

 まるで中近世のヨーロッパへタイムスリップしたような外観のこちらは、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、通称エンパクです。

 台本、原稿、ポスターなどの演劇資料から、衣装、楽器、記録映像など演劇にまつわる貴重な資料を広く収集したコレクションが特徴。

 時期によって様々な企画展を開催しており、2022年8月7日(日)まで、「近松半二――奇才の浄瑠璃作者」「2022年新収蔵品展」の2つの企画展を開催中です。

 冬には建物正面に植えられたツバキが見ごろになり、ヨーロッパ風の建物と日本のツバキのコラボレーションが楽しめます。

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

https://www.waseda.jp/enpaku/

◆屋根のない博物館 大隈庭園

 最後に紹介したいのは、約3,000平方メートルの広さを誇る、大隈庭園です。江戸時代の大名庭園を起源とし、大隈重信の邸宅庭園を経て、早稲田大学に寄贈され、一般公開されています。

 緑に溢れた都会のオアシス的スポットで、中央の芝生広場では学生がランチやお茶、読書などを思い思いに楽しむ姿を見ることができます。

 ツツジ、モミジなどの四季折々の花や緑のなかに、歴史的人物の銅像や灯篭、鐘閣が、溶け込むように点在していて、まさに屋根のない青空博物館のよう。

 初夏の爽やかな日差しのもと、それぞれの歴史に思いをはせながらじっくりと時間をかけて回遊してみましょう。


 いかがでしたでしょうか? 早稲田大学のキャンパスには、今回ご紹介したスポット以外にも、「早稲田大学歴史館」「會津八一記念博物館」「早稲田スポーツミュージアム」「本庄早稲田の杜ミュージアム」など、たくさんの文化施設があります。

 どの施設も自由な空気に包まれていて、周囲には豊かな花や緑があり、とても気持ちのいい場所になっていますので、ブルームカレンダーイラスト展開催のこの機会にぜひ訪れてみてください。

早稲田大学

所在地 東京都新宿区戸塚町1-104
https://www.waseda.jp/

佐藤俊輔(さとう しゅんすけ)

フラワーデザイナー。大手百貨店退社後、花の世界へ。2014年モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。'17年「女性自身」(光文社)、’19年日本最大級の花材通販「はなどんやアソシエ」にて季節のアレンジメントを連載。’20年から、CREA WEBにて「Playful Flower Life!」連載中。

2022.05.14(土)
文=佐藤俊輔
撮影=今井知佑