国民性は違っても子を思う母の思いは変わりません

このベンチが私たちの指定席。色々な事を語りあってきました。NYのプレイグランドは、柵で囲われていて、基本的に出入り口は1カ所。日本では次男を追い掛け回している私ですが、NYではリラックスして座っていられます

 キンダーで仲良くなったママ友は、モンテネグロとイギリス出身の二人。担任から卒園の日に「あなたたちは、いつも一緒だったのに、別々の小学校になるのね……。いつまでも仲良くね!」と言われたほど、毎日一緒でした。雨が降らない限り、3家族でプレイグランドへ行き、子ども達は駆け回り、親はベンチでおしゃべりに花を咲かせて。クリスマスには焼肉を食べに行ったり、週末には映画を見に行ったり、私が次男だけ連れて一時帰国した時は、夫の勤務終了時間まで、日替わりで長男を預かってくれました。

 モンテネグロ出身のママから、16歳で結婚と同時にNYへ来て、19歳で出産したと聞いて、目が点。20歳までに結婚しないと何処かに異常があると思われて、結婚は絶望的になると聞いて、更にびっくり。今秋、高校生になる長男がいるのに、若く見えるなーと思っていたら、本当に若かったという……。こんなに育った環境が違っても、友達になれるのも、NYならでは。

 イギリス出身のママは情報通なので、色々なことを私に教えてくれました。多くを語らないけれど、苦労しているので、彼女から「everything happens for a reason(全ての出来事には意味がある)」と言われると、ずーんと響きました。帰国の報告をした時にも言ってくれて、このタイミングで帰ることが、きっと私たち家族にとってベストだったと、分かる時が来るからと。この二人と話していると、私の悩みってちっぽけだなと思うことが多かったです。

親友と遊ぶ長男。次男も彼に懐いていて、日本でも「どこ?」と探していました。この夏、このプレイグランドで次男も長男たちに混ざって遊びました。この日は珍しく空いていました。いつもは混んでいて、子供がいっぱいです

 そして、1年生では国際結婚した日本人とアッパーイーストの豪邸に住むニューヨーカーのママ友が出来ました。日本人のママとは、初対面で意気投合! 他のママ達から「あなたたちは、日本にいたときからの友達なの?」って聞かれたほど。ニューヨーカーのママは、私よりも一回り以上年上なので、英語はもちろん、色々なことを教えてくれ、クリスマスディナーにも招いてくれました。二人は今回のNYの滞在先を決める際、物件の下見までしてくれたんです。

 仲良しのママ友に共通しているのは、子供がいなくても気の合う友ということです。夫からは「どっちのプレイデートなんだか」と言われ、長男からも「ママはね、お話が大好きなの」と!? 国民性は違っても似たような感覚を持っていて、そして何より、子を思う母の思いは変わりません。彼女たちの影響で私の価値観も変わりました。長男が現地校へ通わなかったら、夫婦だけの渡米だったら、こんなに国際色豊かな出会いには巡り会わなかったはず。頑張って通った彼に感謝です。次男が産まれた街、そして友のいるこの街、NYと、これからも何かしらつながっていけたらいいなぁと願っています。

 1年間、「NYで子育てしてみました!」にお付き合いくださり、ありがとうございました。

田口玲子 (たぐち れいこ)
東京都生まれ。6歳と1歳の息子たちと共に、ニューヨーク・マンハッタンに住む(現在は帰国)。出版社にて週刊誌編集部、女性誌編集部、広告部を経て、夫の赴任に伴い2010年夏にニューヨークへ。渡米後、次男を出産した。旅行好きで訪ねた国は30カ国以上。旅するのと、生活するのは違うということを痛感する日々。子育ての合間の楽しみは、ベーグル店巡り。

Column

NYで子育てしてみました!

息子の幼稚園はマンハッタンのど真ん中! 英語はかたこと、さて……。ほんわかNY子育て記

2013.08.27(火)