活動休止は平成が終わる直前だった

 このMVさながらに、平成後期、自分と向き合おうとする「乙女会議」を上手にまわした彼女。日常の小さなアレコレを、とてもかわいい箱に詰め、マカロンカラー、キラキラストーン、リボン……など、女の子たちの「大好き」で包み込み届けていたイメージ。

 恋の迷いもウジウジした自分も、彼女がかわいくデコってくれるので、テンションを上げて向き合える。彼女の普遍性が約10年に渡って支持を得たのは、どれもすべて丁寧に「ラッピング」をして、応援の気持ちを届けていたからだろう。

 平成が終わる直前に活動休止をしたが、その歌声は永久保存版。またいつか柔らかくポップな歌声で、新たな時代の乙女会議にパッと姿を見せてほしい。

 わかりやすい言葉と明るい感性は、多くの人の心に寄り添える。なんでもない日常が幸せなんだから――。そう言われているようで、とってもラクだ。

2022.03.07(月)
文=田中 稲