京都ならではの時間の流れ方
東京から訪ねてくる友人達はいつも「京都はのんびりしていて良いなあ」と言います。京都に生まれ育った私としては、どの部分が旅人を惹きつけているのかピンと来ない時もありますが、一番のポイントは、根本的な時間の流れ方が違うのだと思います。
たとえば取材依頼の時、「まず、お出会いさせてもらいましょか」と言われ、見本誌や依頼書を携えてお訪ねすることもしばしば。まずはご挨拶して、お茶をいただき、自分の仕事内容を話したり、お店の話をしながら少しの時間を共有します。この時、すぐに用件を話しません。できれば「今回はどんな風にされますか?」と聞かれるまで言わないようにします。
取材斑とご一緒している時、「お茶でもどうぞ」という言葉を無視して、話を進められる方がおられますが、急いでいてもお茶をいただいてから「では……」と切り出した方がかえって話がスムーズに運びます。
お茶は京都人の心の門という感じでしょうか。よその方から見れば、「まどろっこしいなあ」と思われるでしょうが、これが信頼関係を築くための大事なコミュニケーション。そうやって相手との程よい距離感を保っているのが、はんなりとしていて雅やかな時間へとつながっているのかもしれませんね。
2011.09.27(火)