日本全国、その土地だからこそ生まれる工芸品。

 古くから愛されてきた工芸品は不思議とその見た目も愛らしいもの。お土産にもぴったりです。CREA編集部員が見つけてきたその土地ならではのお土産を紹介します。

福島県会津地方「赤べこ」

 福島県会津地方の張子の郷土玩具「赤べこ」。2月1日(火)放送の「マツコの知らない世界」(TBS系・よる8時57分)でも特集が組まれたように、近年はその可愛らしさから多くの愛好者に親しまれています。

 赤べこの「べこ」とは東北地方の方言で「牛」のこと。その名の通り、赤い牛に似せて作られたものでした。当初の赤べこは真っ赤な体に黒い斑点が描かれた絵柄が一般的。これは、赤は魔除けの色、そして黒い斑点は疱瘡を表し、子どもの病気の身代わりになるようにとされていたからと言われています。

 赤べこ発祥の地と言われる福島県の柳津町には「赤べこ伝説」が語り継がれています。

 それは、今から400年ほど前のこと。

 1611年に会津地方を襲った大地震により、柳津町は大打撃を受けました。古くからこの地にある由緒正しい円蔵寺もその限りではなく、本堂である虚空蔵堂を再建することになったのですが、木材を崖上に運ぶことができず、困り果てていたそうです。そんな時、どこからともなく赤毛の牛の大群が現れ、木材の運搬を助けてくれたと言います。

 それから、赤べこは、忍耐と力強さの象徴、そして福を運ぶ縁起物として多くの人々に愛されるようになったのです。

2022.02.21(月)
文=CREA編集部
写真=山元茂樹