忙殺に負けない。自分を超えていく

――様々な作品に出演している松本さんですが、ここ最近で濃かった思い出は何でしょう?

 2021年の年末に出演した24時間テレビ(ABEMA『松本まりかクリスマス24時間生テレビ ~24時間で恋愛ドラマは完成できるのか!?~』)が、とにかくすごかったです。私の人生の中でもだいぶ大きなことで、私を救ってくれた作品にもなりました。

――松本さんが、24時間で恋愛ドラマ制作にチャレンジする番組ですよね。

 そうです、そうです! 『松本まりかクリスマス24時間生テレビ』と自分の冠がついていることからして、そもそもないですし、ものすごい数のスタッフさん、出演者の皆さんとクリスマスに生放送して……。もちろん(鈴木)おさむさんの企画だから、たくさんの方が集まってくれたわけなんですが。

――とても充実感が得られた番組だったんですね。

 本当に、はい。皆さん、めちゃくちゃ生き生きしていましたし、本当に大変でしたけど「このクリスマスを、とにかくいいものにしよう、やりきろう!」というエネルギーが充満していました。

――中でも何が一番大変でしたか?

 丸々1冊の台本を覚える時間が、本当に1日だけだったんです。それまでほかの仕事が詰まっていたので、準備に全然時間をかけられないのがありました。

 もっと言えば、この1~2年ぐらい忙しくさせてもらっていたので、準備もままならないうちに何本も作品をやってきたんです。やることが多すぎて役作りをするヒマもなく、その場に行ってやるしかない、という。そうすると、できないことがたくさんあって「本当に申し訳ない」という気持ちでずっといたんです。

 今回の番組も、最初は「絶対できるわけがない」と思っていたけれど、「これでできなかったら、私はこの先がないな」とも思って。大勢の方が、クオリティ高く24時間のために準備をしてくださっているのが伝わってきましたし、「これで私がいい芝居をしなかったら、絶対ダメだ」と崖っぷち状態で、とにかくがむしゃらに取り組みました。すると、本番で奇跡みたいなことがたくさん起こったんです。「こんなことができるんだ」とまざまざと思えるような体験を、いくつもできたと言いますか。

――だから、ご自身を「救ってくれた作品」にもなったんですね。

 はい。ミスもありましたけど、それも含め全部次の芝居に投影する自分への挑戦ができたので、感動しました。あと、一緒にやった監督たちが「必ずまた一緒にやりたい」、「24時間ですごく大好きになった」と言ってくれたことも、私にとっては本当にご褒美でした。

 この2年間「本当に申し訳ない」と思ってきたこともたくさんあるけれど、今年からは「忙しくても忙殺に負けない、とにかくやりきるんだ」と固く思っています。自分を超えていくことが、「こんなに感動を呼ぶんだ、限界を超えたらできるんだ」とわかったので、やりきっていきたいです。

2022.02.18(金)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=板垣実和
スタイリスト=乾 千恵