●今も気持ちが追いついていない「最愛」の反響

――そして、21年にはドラマ「着飾る恋には理由があって」に出演。川口春奈さん演じるヒロインが勤めるインテリアメーカーの新入社員の秋葉亮役を演じました。

 制服を着てお芝居をする学園ドラマから、急にスーツを着ることになったので、最初は社会人経験がない僕がしっかり着こなすことができるか不安でした。ただ、役どころとしてはクールな感じではなく、とても愛らしいキャラクターだったので、その魅力をしっかり伝えたいと思いながら演じました。

――さらに、ドラマ「最愛」では、当初「情報屋」という設定でしたが、「第4話」から吉高由里子さんが演じたヒロインの弟・優だと判明するという難役を演じました。

 とても難しい役でしたが、僕としては、「第1話」から弟の優を演じるという気持ちでいながら、監督さんとお話ししながら視聴者の方に伝わりすぎないよう、謎めいた感じで演じていました。現場で対面していないだけで、ずっと姉ちゃんのことを考えていましたし。ただ、「第3話」と「第4話」とでは、現場に行くときの感覚がちょっと違いました。「ライダー」とも違う反響をたくさんいただき、今も自分の気持ちが追いついていないですが、それだけ優に感情移入できたことは、役者冥利に尽きますね。

――「最愛」の現場で、吉高さんから学んだことはありますか?

 吉高さんは、いちばんハードなスケジュールで大変なはずなのに、現場では常に明るく、笑顔でいらっしゃったんです。オンとオフ、本番と休憩の切り替えがカッコよくて、僕も見習っていきたいです。

●大切な人を思い続けて演じた初のホラー映画

――現在放送中のドラマ「ドクターホワイト」では研修医の新平役を演じていますが、4クール連続で、連ドラ出演されていることについては?

 いろんな現場で勉強させていただき、とても有り難く思っています。「ドクターホワイト」の現場は、これまでまったく知らなかった医療用語が多くて大変ですが、そのぶん勉強することも多く、そこを楽しみながら演じています。

――そして、最新出演映画『牛首村』では、Kōki,さん演じる行方不明になった恋人・詩音を探している将太役を演じました。

 将太にとって、詩音はとても大きな大切な存在なので、彼女のことを常に考えながら演じること。それが役作りのスパイスになったと思います。また、清水崇監督といろいろと話し合っていくことで、お芝居に素直に向き合って、ホラー映画ならではの恐怖心を煽るお芝居を考えて作っていきました。ホラー映画を撮っていましたが、めちゃくちゃ明るい現場でした。

――撮影中、印象的だったエピソードは?

 僕は現場に後から合流したんですが、Kōki,ちゃんと萩原利久くんは初めて会った日からオープンに迎えてくれて、好きな食べ物の話とか、いっぱい話しました。撮影では海に入るシーンが印象に残っています。砂浜でリハーサルをしつつ、陽に追われたり、バタバタしながらも、俳優同士でシーンと役柄について、ディスカッションしたのもいい思い出になりました。

●役と自分との境界線を減らしていきたい

――この作品では、どのような新しい高橋さんが見られると思いますか?

 現場でもハイカロリーなシーンばかりだと思っていましたし、これまでとは違う緊迫感や緊張感を感じていたので、それが表情として出ているかなと。また、高校生ながら大人っぽさもある役柄だと思って演じていました。そういうところも含めて、僕の新しい一面を感じてもらえるかな、と思っています。

――今後の展望や将来の夢があれば教えてください。

 役者としては、ひとつひとつの役に素直に向き合って、役と自分との境界線をどんどん減らしていって、いつまでも正解やゴールのないお仕事を全力で全うしていきたいと思っています。また、共演者の方から学べるものは、どんどん吸収していきたいので、柔軟性みたいなものは大切にしていきたいです。そして、ゆくゆくは料理人の役を演じることができたらいいですね。

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高橋文哉(たかはし・ふみや)

2001年3月12日生まれ。埼玉県出身。19年、特撮ドラマ「仮面ライダーゼロワン」の飛電或人/仮面ライダーゼロワン役で俳優デビュー。その後、「着飾る恋には理由があって」「最愛」などの人気ドラマに出演。現在、ドラマ「ドクターホワイト」に出演中。

映画『牛首村』

自分そっくりの女子高生が出ているある心霊動画を見た奏音(Kōki,)は、クラスメイトの蓮(萩原利久)と撮影地である富山県の坪野鉱泉に向かう。そこで彼女は行方不明になった詩音(Kōki,/二役)を探している将太(高橋文哉)と出会う。
©2022「牛首村」製作委員会

https://ushikubi-movie.jp/
2022年2月18日(金)全国公開

Column

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2022.01.28(金)
文=くれい 響
撮影=平松市聖