2021年にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。カルチャー部門の第3位は、こちら!(初公開日 2021年7月23日)。
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一晩で伝説級のバズを生み出した漫画『ルックバック』
2021年7月19日、1本の漫画が世に放たれ、耳目を集めた。集英社が運営する漫画アプリ「ジャンプ+」にて公開されたその作品の名は、『ルックバック』(サイト上からも閲覧可能)。
『ファイアパンチ』やTVアニメ版の放送が控える『チェンソーマン』など、独特の世界観で人気を博す漫画家・藤本タツキ氏による新作読み切り作品だ。そのボリュームは、なんと規格外の143ページにも及ぶ。まさに渾身の力作と言っていいだろう。
2018年12月から「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『チェンソーマン』は、2020年12月に「第一部」となる「公安編」が完結。それ以来の新作とあって、ファンにとっても待望だった(ちょうどアニメ版のPVが公開されたタイミングも近く、熱が高まっていた部分もあろう)。
『チェンソーマン』の担当編集者でもあるヒットメイカーの林士平氏が、以前よりTwitter等を通じて盛り上げていたこともあって、「7月19日、日付が変わった瞬間に藤本先生の新作が来る!」という期待感は、日増しに強まっていた印象がある。
『チェンソーマン』藤本タツキ先生の新作読切は、ついに明日7月19日月曜ジャンプ+にて配信です。
— 林士平(りんしへい) (@SHIHEILIN) July 18, 2021
大ボリュームなページ数の読切作品です。
日付変わりましたら、また告知させて頂きます。
是非に、沢山の方に読んで頂けたら幸いです✨
乞うご期待…❗️
とはいえ、公開後の反響は想像以上だったのではないか。Twitterでは長時間にわたって関連ワードがトレンド入りし、一般の読者だけでなく著名人やクリエイター、同業者となる漫画家たちも、続々と感想を投稿。
その結果、ジャンプ+史上初となる、1日で閲覧数250万を突破する大ヒットを記録。その勢いは本稿の執筆段階(7月20日時点)でもとどまらず、配信2日足らずで閲覧数400万に到達するなど、拡散が続いている。
すごい。本当にすごい。すごいものを読ませていただきました。(語彙消失)
— 浅野いにお/Inio Asano (@asano_inio) July 18, 2021
ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+ https://t.co/XLdN7maWcy
こ…この漫画の上手さは人の心を折るタイプだ…。
— 石黒正数 (@masakazuishi) July 18, 2021
良かった俺、藤本タツキより先にデビューしてて…。
SNSを覗いてみると『ファイアパンチ』『チェンソーマン』の元々の読者ではなかった、つまり藤本氏の作品に『ルックバック』で初めて触れたユーザーも多く見られ、飛躍的なリーチを達成したことが伝わってくる。
143ページというボリュームは、誌面だとなかなか実現しにくいものだ。また、近年のジャンプ+が発表する作品群を見ていても、ネット上での発表形式は、より様々な表現をチャレンジする自由度が高い。
この辺りは、ドラマにおける分数(ボリューム)をクリエイターが調整でき、エロやグロなど攻めた表現もOKなNetflixに近いといえるかもしれない。向き不向きは個々人によるだろうが、漫画家の作家性や、創意工夫をそのまま出しやすいのだ。
そして『ルックバック』は、まさにジャンプ+だからこそ可能な内容・構成になっている(その後のバズも、みんなが読める期間限定の無料公開が故だろう)。
では、ここまで驚異的な反響を得た『ルックバック』は、どんな作品なのか? ここからは、その具体的な内容を紹介していきたい(※結末のネタバレもあるためご注意を! 未読の方は先に作品を読んでから、次ページへどうぞ)。
2022.01.05(水)
文=SYO