自身がボーカルを務めるロックバンド、SUPER BEAVERのバンドストーリーを題材にした小説『都会のラクダ』を上梓した渋谷龍太さん。メンバー4人が高校在学時の結成から、初ライブ、一度メジャーデビューをしての挫折、インディーズバンドとして武道館ワンマン成功、メジャー再契約と、約15年にわたる栄光と苦難が、機知に富んだ文章で赤裸々に綴られている。

 初の小説のこと、文章を綴ることへの想い、バンドとライフスタイルについてお話を伺った。

文章を書くのがとにかく好きだった

――初の小説『都会のラクダ』は、かつてご自身のブログで公開されていた文章を元に、大幅な加筆修正をされたそうですね。

 はい。元々文章を書くのがとても好きなので、どこかで何かできないか、という漠然とした相談は事務所やレーベルにもしていて。そうしたら、KADOKAWAさんから「まずはSUPER BEAVERのHPに掲載されていた方の『都会のラクダ』を書籍化するところから始めてみましょう」。というお話をいただいたので、ありがたく受けさせていただきました。それで新しく書き進めていった感じですね。

――書籍化する上で意識したことはありましたか?

 SUPER BEAVERというバンドは、なかなか珍しい軌跡を描いてきたバンドだと思うんですけど、曲を聴いていただくにあたって、自分たちのバックボーンを知らなくても響く音楽じゃないと意味がない、と思っているんです。

 でもこれだけバンドを長く続けていると、最近知ってくださった方も増えていて。そういう方たちの中には自分たちの歴史を知りたいと思ってくれている方が結構いるということを知って、奇をてらうのではなく、ストレートに読みやすいもので、誰が読んでもSUPER BEAVERっていうバンドに親しみを持ってもらえるようなものになればいいなあ、と思いました。

2021.11.27(土)
文=小松香里
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=madoka