Night Tempoも菊池桃子の大ファン

 また、見逃せないのが、やはりシティポップをネタ元にした「フューチャーファンク」というジャンルで人気を広げてきた韓国・ソウル出身のDJ/プロデューサー、Night Tempoである。竹内まりや「Plastic Love」現象の火付け役となるなどここ数年のシティポップ・リバイバルの立役者の一人となってきた彼も、かねてから菊池桃子の大ファンであることを公言してきた。

 2019年からは「昭和グルーヴ」シリーズと銘打って数々の80年代のポップソングの公式リエディットを手掛けてきたNight Tempoだが、9月10日には、その第10弾となる『菊池桃子 – Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』が配信リリースされた。

 念願が叶ってのリリースを実現させたNight Tempoは、菊池桃子の魅力をこう語る。

 

主演映画のポスターを部屋に貼っているくらい大好きな存在

「菊池桃子さんを知ったのは2012年から2013年くらいのことです。もともと僕は昭和のアイドル、80年代のダンス曲に惹かれていて。その中でも菊池桃子さんはビジュアル的に好みだったというところから掘り始めました。“ビジュアル”と言っても単に顔だけじゃなく、パッケージのデザインや作品のイメージを通して一貫したブランディングがあって、その完成度がとても高かったと思うんです。レコードとカセットテープも8cmシングルも全部集めましたし、写真集やVHSも集めています。自分の部屋にも菊池桃子さんの主演映画『アイドルを探せ』のポスターを貼っているくらい、とても大好きな存在です」

 音楽性についてはどうだろうか?

「菊池桃子さんの楽曲は林哲司さんの色が強いですよね。声の使い方も研究して、自分の作品みたいに菊池桃子さんの曲を作っていたんだと思います」

独特のウィスパーボイスを活かした楽曲を制作

 林哲司とは、松原みき「真夜中のドア~stay with me」や竹内まりや「September」など数々の楽曲を手掛け、シティポップのオリジネーターとして世界的な評価を高めている作曲家・編曲家。菊池桃子のデビュー曲から1987年の「ガラスの草原」までの全シングル、アルバム収録曲に携わり、独特のウィスパーボイスを活かした楽曲を制作してきた。

2021.09.29(水)
文=柴 那典