カカオ豆の生産者に技術指導するほど夢中に

4月にオープンした2号店のルマ・カカオ店

「ダリケー」の「ダリ」はインドネシア語でfromという意味。Kはスラウェシ島の形から。ダリケーのチョコは、そのスラウェシ島のカカオ豆を輸入し、自家焙煎して作られているのです。CEOである吉野慶一さんは外資系投資会社で働いていて、カカオ豆が投機の対象になっているのを不思議に思い、インドネシアがその有数の生産地であることに興味を持ちます。「バックパッカーとして各国を旅していた経験もあって、現地の農園まで行きました。生産者は貧しく、カカオ豆を発酵させて高値で売ることもしていなかった」。吉野さんは発酵の方法を調べて現地で指導。会社をやめて、カカオ豆にのめり込んでいきました。

 実績もなく、知られてもいないインドネシアのカカオ豆を売り込むのは困難の極みです。「カカオ豆そのものが売れないなら、自分でチョコにしようと思って」と吉野さん。自身で焙煎の試行を重ね、ショコラティエが試作を繰り返して、2011年4月15日、三条通に小さなチョコレートショップを始めました。そして、今年4月末、西院に2号店の「ルマ・カカオ店」をオープンしたのです。

ルマ・カカオ店の楽しい店内。カカオ豆の写真や実物、カカオ豆からチョコレートが出来るまでの工程の絵などが展示されています

 ルマ・カカオ店がある西院は、平安時代初期、 西院天皇、西院帝ともいわれた淳和天皇の離宮・淳和院があった土地。離宮は別名「西院」と呼ばれていたそう。西大路四条交差点の東北の高山寺の門前には「淳和院跡」の石碑が建っています。阪急電鉄京都本線と京福電気鉄道嵐山本線(嵐電)、2つの鉄道の駅があり、金閣寺方面への観光の乗り換え客も多い。

左:カカオアイス 525円
右:フローズン・カカオ 630円

『ダリケー ルマ・カカオ店』のルマとは、インドネシア語で家という意味。店内は家庭のダイニングキッチンを思わせる、アットホームなインテリア。イートインのコーナーで飲む、できたてのフレッシュ・カカオ・ドリンクや冷たいフローズン・カカオは、カカオ豆と牛乳、砂糖だけを使用しています。すっきりした味わいとフレッシュなカカオ豆のほろ苦さが特徴。フローズン・カカオは、焙煎したカカオ豆を砕いたカカオ・ニブを上にトッピングしてあり、カリカリと噛むと、その苦味が際立ちます。今までのチョコレート・ドリンクとは全く異なる風味で、すっかり虜になってしまいます。

<次のページ> お土産用の木箱もインドネシア産の木にこだわり

2013.06.09(日)