#227 Kashiko-jima
賢島(三重県)

 2016年に開催された、伊勢志摩サミットの地、三重県・賢島(かしこじま)。

 賢島は奥志摩とも呼ばれる先志摩半島の南、入り組んだリアス海岸が美しい英虞(あご)湾に浮かんでいます。大小60ほどの島々があるなかで最大の大きさを誇るものの、人口は100人足らず。

 そんな賢島が伊勢志摩サミット開催地に選ばれた理由のひとつは、本州と2つの橋のみで結ばれているので、警備がしやすいから。とはいっても、本州との距離は10メートルも離れていません。

 江戸時代の農民たちは本州から徒歩(古語で「かち」)で島に渡れることから、「かちこえ島」と呼び、いつしか「かしこ山」→「かしこ島」と変わっていったそうです。

特急「しまかぜ」に乗っていざ賢島へ

 今回、賢島への旅は名古屋から電車を利用することにしました。お目当ては近鉄の観光特急「しまかぜ」。しかし予約開始時にうっかり数分の遅れをとったら、最前席から数列はすでに売り切れ。仕方なく、のんびりゆったり最後尾を予約しましたが、実はそれが、正解だったようです。

 進行方向に向かって座っていたら、隣の鉄道ファンらしき人が「この席、回転できますよ」とシートをくるりと反転。すると最後尾にパノラミックな眺めが広がりました。流れていく風景と延々と続く線路、旅情あふれる風景を満喫しながら、賢島まで約2時間の電車旅です。

 ホテルのチェックインまでの空いた時間に、観光遊覧船で英虞湾をクルーズすることにしました。

2021.07.31(土)
文・撮影=古関千恵子