彼女らは私からすると優しいし、信用できるし、強いし、一緒にいて楽しいです。このままいけば、みんな独りで老後を乗り越えなきゃいけなくなるから、また高校生の時のようにつるめないかな、なんてぼんやり思っています。決してリーダーじゃなかったけど、いらぬ責任感の強さで、何かを発案するのは私の役目だったので、ずーっと全員が楽しく生きてゆける老後を、その道筋を作らねばと思い続け、プレッシャーを感じています(※注 誰からも頼まれてないです)。

 私は、女たちが集まってお喋りしながら手を動かして何かを作る、その姿を見るのが異常に好きです。海外のも好き、農村のも好き、漁村のも好き、今のも昔のも太古のも好き。ピースフル。こんなピースフルありますか? 

 

「手芸はいいですよ。全ての人にオススメしています」

 女の人はお喋りです。でも男の人のように、深く深く掘り下げてゆきたいわけじゃないんです。横に横にスライドしてゆくトークが得意です。感覚で話ができます。だから手を動かしながらお喋りをすることができます。ただ聞いてほしいだけ、そんな話は山ほどあります。オチなんかありません。胸のところに留めておいたら、嫌な形に化けてしまいそうなモノを早く吐き出したいんです。笑い飛ばしたい、一緒に笑い飛ばして欲しいんです。笑い声が成仏させてくれます。

 大切なモノは胸に留めて、ちゃんと育てて、いつか話すかもしれません。オチだってつけるし、起承転結だってつけられますよ。でも、その前に、あまりに沢山感じちゃうから、雑魚キャラはばったばったと、笑い飛ばしていかないと、パンクしちゃうんです。

 まるで女代表のように語りましたが、私のことです。私自身のことです。だから、オチがない、と言わないでください。一緒に、何も考えず、多分ここだなってところで、嘘で笑っておいてください。私はそれでご機嫌になれますから。

 憧れです。将来、こういう女たちがお喋りしながら手を動かす世界を作れないかなぁと思っています。そこでお金を、大金でなくていい、その日暮らせるお金を稼げないかなぁと思っています。綺麗な海の近くにカフェを作ろうと思っています。足腰の丈夫な同級生に裏の畑で野菜を作らせて、厨房と給仕を任せ、空き時間には私が教えたマスコットを作らせ、それをネットで売るなり、店の片隅で売るなりさせて、私は観光客とたまにお喋りしてればいいかなぁ……なんて。搾取!!! 劣悪環境!!! 腐った資本家!!! 

2021.05.31(月)
文=光浦靖子