「一緒に売れる必要はない、友達のまんまでいいんじゃない?」光浦靖子(50)が語る同級生・大久保佳代子の存在 から続く
「手芸はいいですよ。全ての人にオススメしています」「脳みそから気持ちの良い汁が出てきますから」。23本のエッセイをまとめた『50歳になりまして』(文藝春秋)でそう語るのはオアシズの光浦靖子さん(50)。
小学校3年生のクラブの時間に手芸と出会ってから、ずっと好きで飽きたことが一度もないという光浦さん。全ての人にオススメする手芸の魅力とは一体何だろうかーー。光浦さんによる同書から一部抜粋し、『私が作って私がときめく自家発電ブローチ集』(文藝春秋)の作品とともに紹介する。(全2回の1回目/#1を読む)
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「50歳になりまして」―― 同級生と手芸
高校時代の仲良しグループのメンバーは、恐ろしいことにほとんどが独身です。8人中6人が独身です。結婚がいいとは断じて言いませんが、この確率の高さは呪いだと解釈しています。毎日つるんでいた高校生の時、きゃっこら、きゃっこらはしゃぎながら、きっと、入ってはいけない域に足を踏み入れた、結界を越えてしまったんだと私は思っています。例えば、身分の違いによって結ばれなかった男女が心中して、その魂を鎮めるために祀られた岩とかね、その岩の上に大好きなうまい棒を並べてお茶会しちゃったとか。呪いじゃなきゃこの独身率の高さ、納得できないですよ。
それとも我が強そうに見えて、みんな周りを気にするタイプだったからかしら。チキンレースです。「いつ嫁に行く?」「まだのんびりしてていい?」「行く?」「まだ行かないよね?」なんて周りばっかり見ながら前に進んでたら、全員で手を繋いで一生独身の海にドボン、みたいな。いや、やっぱ我が強いのが原因だと思うなぁ。高校時代、一言も口を利けなかった男子が、大人になってやっと会話ができるようになった男子が、一、二度飲んだだけの男子が「もう、アイツ(私の仲良しグループの一人)とは一生、飲まねぇ!!」とキレてましたからね。多分、喧嘩したんでしょう。折れなかったんでしょう。折ってやったんでしょう。
2021.05.31(月)
文=光浦靖子