ハマるかトラウマか二極化「みんなのうた」の意味深曲
●「まっくら森の歌」(谷山浩子)
「さかなは空へ 小鳥は水に タマゴがはねて 鏡が歌う」(作詞:谷山浩子)。どことなくマザーグースの歌のような歌詞と、静かなメロディーは怖くてキレイ。この曲がきっかけで私は谷山浩子の森に迷い込み、いまだ出られていない。
●「月のワルツ」(諫山実生)
不思議の国のアリスからヒントを得たという一曲。いしづかあきこさんのアニメーションも悪夢っぽい独特のムードがあり、印象的。「みんなのうたで心に残った曲」という話になると、必ずタイトルが出る人気曲だ。オルゴールを巻いたようなイメージから始まるイントロからテンションが上がるという人も。
●「サラマンドラ」(尾藤イサオ)
「あしたのジョー」の主題歌といい、尾藤イサオさんの鼻がかった歌声は、ロンリーウルフのハミングを思わせる。時々入る「ホーゥ」という謎の音もミステリアスで沁みる。
●「ミシェルおばさん」(石井好子、ダーク・ダックス)
ミケ(猫)がいなくなって、大慌てのミシェルおばさん。実はタロウ少年がわざとミケを隠していたのだ。拾ったとみせかけて、おばさんに謝礼をくれと迫るタロウ……。ものすごいサスペンスな内容がハッピーな曲に乗せて展開されている。フランス民謡、恐るべし。
ああ、挙げればキリがない。なにせ1500曲もあるのだ。
タイトルを読むだけで心が騒ぐ。「星のヨーデル」とか「さっさか大阪」とか、「うわ聴きたい~!」と悶えているうちに、あっというまに時間がファラウェイ……。
「知ってる人少ないんだけど好きだった曲がある。もう一度映像を見たいなあ」。そんな切ないサンセットメモリーを抱いている方もいるだろう。
曲の数だけ思い出がある。発掘プロジェクトは今年の12月31日まで。あなたの大切な曲も、発掘されますように!
Column
田中稲の勝手に再ブーム
80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。
2021.05.18(火)
文=田中 稲