この2羽に共通する、“オスをメロメロにするテクニック”のようなものはあるのだろうか?

“魔性のペンギン”たちのモテるワケ

「明確にはわかりかねますが、《てら》と《ろくじょう》を観察していると、2羽の共通行動のひとつに、“オスからアプローチを受けた際、強く拒まない”というのがあります。ちなみにペンギンのアプローチとは、羽をパタパタさせたり、首をかしげながら近づく行為などです。《てら》も《ろくじょう》も“来るものは拒まず”精神で、とりあえず寛容に受け入れているように見えます。

 また、2羽ともさりげなく、さまざまなオスのそばにいるんです。飼育スタッフ的には『あ、またシレッと近づいているな~』と思うこともあるそうですよ」(同前)

 間口を広く開け、まず相手の警戒心を解く……。いわゆる「スキを作る」ということなのだろうか。

 そして東にも東の魔性がいる。前出のすみだ水族館広報の山口さんは「すみだ水族館の魔性の女といえば、《フジ》♀です」と太鼓判を押す。

「夫はイケボで有名な《アケビ》♂。彼らには子供もいますが、《フジ》の隣にはいつも誰か別のオスがいるんです。《フジ》は自分から誘うことはほぼありませんが、ふくよかな体型が魅力的なのかもしれません。

《フジ》は以前、当時3歳の《わっしょい》♂と一緒に羽づくろいしていたり、彼女歴ゼロの《ワイン》♂(現在は他館へ移動)をメロメロにさせたこともありました。《ワイン》はまるでストーカーのように《フジ》について回って見つめ続けていたこともあります。人間もちょっと引いてしまうくらいの夢中っぷりでした。《フジ》には抗いがたい魅力があるようです」

 

 オス・メスそれぞれの“モテるペンギン”の共通点はあるのだろうか。京都水族館広報の松本さんは「一概に“モテる行動”といえるものがあるかですか。どうでしょう……」と首を傾げた。しかしすみだ水族館、しながわ水族館の2館は「あくまで当館の見解」と前置きしたうえで、こう解説した。

2021.04.15(木)
文=環夏