住宅街に現れる森、神秘的な寺などが点在する「西奈良エリア」。

 この地とゆかりが深い作家・森見登美彦さんに魅力を伺い“森見ファンタジー”を育んだ、ひと味違った奈良の旅へと誘います。

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ここはあの世とこの世の境のような感じがする

 「宝山寺駅から少し歩くと料亭や宿の並ぶ門前町があって、今は昔の建物を生かしたレストランや小物屋さんがポツポツとできています。

 平日の午後に行ったりすると本当に閑散としていて、あの世とこの世の境みたいな空気感がある。奈良盆地が一望できて景色がいいし、のんびりできます」

 森見さんは大学卒業後、京都、東京に住んでいたが「生駒山が見えるところに帰りたい」と故郷に戻った。

「何もなさそうなところに面白いものを見つけると満足するタイプなので、この地域が性に合ってるんでしょうね」

 想像力を掻き立てる西奈良の旅。木々が生い茂る森、静寂に包まれた通りに迷宮の入り口があるかもしれない。

朝七時半に起きて、ベランダから奈良盆地を見まわして朝日に挨拶、ベーコンエッグを食べ、午前九時から机に向かう。
――『熱帯』より


アンティークの風合いが美しい、アクセサリー店

◆chiel(シエル)

 昭和初期に建てられた洋館をリノーベションした店内は、アンティーク家具が配された美しい空間。

 こちらは生駒出身のアクセサリー作家・森本綾子さんのアトリエ兼ショップ。

 型に錫と鉛の合金を流し成形し、加工して作られるブローチやピアスなどのほか、3,000種類近くのパーツを販売している。

 好きなアイテムを組み合わせてアクセサリー作りに挑戦してみるのもいい。

chiel(シエル)

所在地 奈良県生駒市門前町10-9
電話番号 0743-25-3888
営業時間 13:00~16:00
定休日 不定休
https://chiel.jp/

森見登美彦(もりみと みひこ)

1979年、奈良県生まれ。2003年、京都大学農学部卒。同大学院在学中に『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。’07年に『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞する。著書は『ペンギン・ハイウェイ』『夜行』『熱帯』ほか多数。

※価格はすべて税込です。

森見登美彦さんと歩く
西奈良ラビリンス

2021.04.14(水)
撮影=佐藤 亘

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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