季節のパフェとワインとのペアリング
先斗町は、京都の「五花街」のひとつ。5月に「鴨川をどり」が開催される先斗町歌舞練場やお茶屋がある通りは、夜になると千鳥柄の提灯が揺れて風情たっぷり。
今回ご紹介する「Lilou(リル)」は、そんな路地の雑居ビルの2階にあります。急な階段を上がって奥に進み、重々しい木製のドアを開けるのは、ちょっと勇気がいるかも。
店に入ってカウンターに座ると、東山を背景に鴨川が流れる京都らしい景色が眺められます。店主・宮﨑協子(かなこ)さんが笑顔で迎えてくれ、女性ひとりで訪れても安心なお店。
「Lilou」の大きな魅力は、季節のパフェとワインとのペアリングができること。取材時は「桃とバニラのパフェ」。桃はフレッシュとソルベ。バニラのアイスクリーム、シナモンのクランブル、アーモンドのフロランタン、桃とスモモのコンフィチュール、コーンフレークと生クリームで構成されていて、桃の風味、スパイスの香り、様々な食感が楽しめる大人のパフェ。もちろんアイスクリームも自家製です。
「ジャン・リュック・パスケ ピノー・デ・シャラント」を飲みながら、ディナーの後のデザートとして食べるのがいい。
「イチジクと洋梨」「洋梨とチョコ」「モンブラン」……と、秋の深まりと共に変わるパフェを、次々に味わいたくなります。
定番メニュー「タルトタタン」に使うのは、紅玉かジョナゴールド。1日目に3時間焼き、2日目にパートプリゼをのせてさらに1時間焼いて仕上げた一品。薄く切って何層も重ねたリンゴの甘酸っぱい風味が口いっぱいに広がります。
合わせるのは、リンゴのお酒「ポモー・ド・ノルマンディー」。リンゴ×リンゴの贅沢なひとときにうっとり。
「クラフティも好きで、必ず作ります」と宮﨑さん。カスタードの優しい味わいの素朴なお菓子で、ブルーベリーやアンズでも作るそう。
取材時は「サクランボのクラフティ」で、チェリーの深い香りがする赤ワイン「ドメーヌ・ヴィレ ルネッサンス・ルージュ 2015」やロゼワインと好相性。
2020.10.11(日)
文・撮影=そおだよおこ