「ソファに手が挟まる」だけで場面を引っ張れる稀有な俳優

――「誰かが、見ている」は、舎人のパントマイム的な動きが、ひとつの見所になっていますね。

三谷 そうですね。たとえば第1話では、舎人がソファーを運ぼうとして、ソファーの隙間に手が入って抜けなくなってしまう場面があるんです。

 たかが“ソファーに手が挟まった”というだけのハプニングで、延々その場面を引っ張れる俳優さんがこの世界に何人いるか。とにかく、すごく面白くなったんですが、あのシーン、実は現場で考えたんです。

香取 あーそうですね。

三谷「このソファを使って何かもうひとつ面白いことできないかな」って言ったら、香取さんが、「手が挟まるのはどうですか」というアイデアを出してくれて。そこから発展してどんどん抜けなくなって、足も入っちゃうみたいな(笑)。

 2人でやりとりしてできたものが、あんなに面白くなるってことがすごく幸せだし、多分あれは、世界中の誰が見ても、どんな世代の人が見ても面白いと思うんです。

 簡単にやっているように見えるかもしれないけど、本当に挟まっているわけじゃないからね、様々な身体能力を駆使しないとできない。

2020.09.23(水)
Text=Yoko Kikuchi
Photographs=Takuya Sugiyama, Keiji Ishikawa
Styling=Kayo Hosomi, Kan Nakagawara(CaNN) 
Hair&Make-Up=Tatsuya Ishizaki, Megumi Tatsumi