どこか諦めているようなパンダ
「木に登ったときは要注目。高確率でかわいいハプニングが起こります」(小澤さん)
パンダのことは好きというより、尊敬しています。
人間とは真逆のメンタルは憧れでしかない。
例えば、パンダは木登りは得意でも下りるのが苦手。かなりの確率で、途中でドテッと落ちてしまう。
その落ち方が「もういいや、落ちちゃえ!」って感じで、どこか諦めているように見えるんです。
ヤバッ! うまく下りられない! 「ハプニングの予感がします。うまく下りられず、転がり落ちてしまうかも……」(小澤さん)
こうした“なるようになるさ”みたいな気の持ちようを、僕は勝手に“パンダメンタル”と呼んでいます。
パンダの気持ちでいれば、イラッとしない。その所作を真似するだけでも気分がよくなるから不思議です。
石に腰掛ける後ろ姿は、職場の人間関係に悩んでいる人のよう。「哀愁の漂う姿がたまりません」(小澤さん)
「人前でグターッとできるような、空気を読まない自由な感じがスゴいし、心底羨ましいです」(小澤さん)
くちゃくちゃと音を立てながら笹を食べるように、僕も棒切れのようなもので真似してやってみる。
四つ足で不恰好に走ってみる。僕はできることならパンダになりたい。
なにげないしぐさが人間らしい。「まさか、うそ泣きをしてる!?」(小澤さん)
パンダになって自由に生きられたら最高です。
◆小澤さんのパンダ愛が詰まった写真集
左から:『ADVENTURE WORLD PANDAS ハロー 彩浜とパンダファミリー』(エムピージェー) 1,500円 『HELLO LITTLE アドベンチャー ワールドで生まれたあかちゃんパンダの奇跡』(徳間書店) 2,700円。
小澤千一朗(おざわ せんいちろう)さん
ライター・編集者。スケートボードマガジン『Sb Skateboard Journal』を定期刊行。近著ADVENTURE WORLD PANDAS ハロー 彩浜とパンダファミリー』など、パンダの写真集やDVDも手がけている。
2020.06.29(月)
Text=Hiroya Ishikawa
Photographs=Kenji Nakata、Masaru Tatsuki
CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
この記事の掲載号
CREA
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