どこか諦めているようなパンダ

 パンダのことは好きというより、尊敬しています。

 人間とは真逆のメンタルは憧れでしかない。

 例えば、パンダは木登りは得意でも下りるのが苦手。かなりの確率で、途中でドテッと落ちてしまう。

 その落ち方が「もういいや、落ちちゃえ!」って感じで、どこか諦めているように見えるんです。

 こうした“なるようになるさ”みたいな気の持ちようを、僕は勝手に“パンダメンタル”と呼んでいます。

 パンダの気持ちでいれば、イラッとしない。その所作を真似するだけでも気分がよくなるから不思議です。

 くちゃくちゃと音を立てながら笹を食べるように、僕も棒切れのようなもので真似してやってみる。

 四つ足で不恰好に走ってみる。僕はできることならパンダになりたい。

 パンダになって自由に生きられたら最高です。

◆小澤さんのパンダ愛が詰まった写真集

小澤千一朗(おざわ せんいちろう)さん

ライター・編集者。スケートボードマガジン『Sb Skateboard Journal』を定期刊行。近著ADVENTURE WORLD PANDAS ハロー 彩浜とパンダファミリー』など、パンダの写真集やDVDも手がけている。

2020.06.29(月)
Text=Hiroya Ishikawa
Photographs=Kenji Nakata、Masaru Tatsuki

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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