世の中にはさまざまな“偏愛”がありますが、ダンボールにはまってしまったのが、こちらのアーティスト島津冬樹さん。
ニューヨークの道端に落ちていたダンボールがあまりにカッコよかった、と語る島津さんはダンボールから目を引く作品を作り上げています。これが、本当にカッコいい!!
拾ったときの思い出も含めて、ダンボールに恋してます
僕がダンボールにハマったのは大学生のとき。愛用の財布がボロボロになり、新調するまでの間に合わせとして、ダンボールで自作したのが始まりです。
それが思いのほか使いやすく耐久性も抜群。1年も持ちこたえたことで一気にのめりこんでいきました。
そして、観光で訪れたニューヨークで道端に落ちていた数々のダンボールを見たときに、そのカッコよさやバリエーションに驚き、いろいろな国でダンボールを拾い集めたいと思うようになりました。
これまでのおよそ10年間で、35の国と地域を訪れ、3,000種類ほどのダンボールを見てきた僕が思うその魅力ですが、まずはご当地性。書いてある言語が違うだけでなく、色やデザインにも国や地域の特徴が表れます。
例えば、タイ。多くのナンプラーが存在するこの国では、同業他社のものと差別化し、目立たせるために色使いが激しいんです。誰にでも中身がわかるように、写真が使われているのもこの国ならでは。
また、直接消費者の目に触れないものなので、昔のデザインやフォントがずっと使われていることも多く、レトロな雰囲気もたまりません。印刷がズレていることもあり、それが逆に手作り感があっていいんですよね。
キズやサインなど人から人へ渡った痕跡もよく残されているので、それを頼りにダンボールが捨てられるまでの旅路を想像するのも楽しいです。
これまで大好きなダンボールを使って、おもに財布を作って販売してきましたが、今後はバッグなど人目に触れるファッションアイテムを増やしたり、家具にも挑戦していきたいと思っています。
アイテムを通して多くの人にダンボールに触れてもらい、その魅力を伝えていけたらいいですね。
2020.07.13(月)
Text=Hiroya Ishikawa
Photographs=Takashi Ehara