新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、長引く外出自粛生活で「コロナ太り」を気にする人が増えているのではないだろうか。
しかし、健康長寿を考えるうえで重要なのは、単純な「体重の増減」ではなく「筋肉の減少」だ。
NHK「みんなで筋肉体操」で人気の近畿大学准教授の谷本道哉さんは、「もともと運動習慣のない人は、日常生活が日々の活動量の主な部分を占めているので、一連の外出自粛で、からだ、特に筋肉や関節などの運動器の機能が低下している恐れがあります」と警鐘を鳴らす。
まず痩せてしまうのが、太ももの前側にある大腿四頭筋やお尻の大臀筋などの「抗重力筋」だという。
運動の前に「姿勢」を見直そう
「特に高齢者は、自粛生活を続けて筋力が弱まると、歩くのも辛く感じるようになるでしょう。
また、心肺機能などの持久的体力は筋肉よりも衰えが早く、2週間体を動かさないだけで、如実に変化が現れます。ちょっと歩いただけで息が上がるなどの体の変化を感じている人もいるかもしれません。
とはいえ、いきなり運動しましょうと言われてもハードルが高いもの。普段運動していない人がいきなり負荷の高い運動をすると体を痛める可能性もあります」
そこで谷本氏が勧めているのが、まずは「姿勢」を見直すことだ。
「家でじっとしていると、『前かがみ』の姿勢が多くなりがちです。パソコンやスマートフォンを見ているとき、背中が丸まっていませんか。
また、家事には前かがみの姿勢を前提とした動きが多く、洗濯、掃除、料理や片付けなど、意識しなければ胸を張った姿勢でできる作業は一つもありません。
背骨が丸まった姿勢が続くと、肩や腰に負担がかかり、肩こり、腰痛などの不調に繋がります。座った姿勢が長く続けば、股関節の動きも悪くなり、脚を大きく動かせなくなります。
『背骨・肩甲骨・股関節』は手や脚の動きの起点となる『体幹』です。
つまり、体を動かさないことで生じる不調は、『背骨・肩甲骨・股関節』がしなやかに動かなくなっていることから起こります」
2020.06.13(土)
文=文藝春秋編集部