郷ひろみメドレー

 郷ひろみの声は、心を軽くする作用がある。

 1・2サンバでもいい。アチチでもいい。ジャペアオオンでもいい。聞こう。

 こんな書き方でも、誰もが「ハイハイ、お嫁サンバとGOLDFINGER'99と2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-のことね」とわかってくれるであろう、郷ひろみの楽曲のキャッチーさに改めて感動。

YOUNG MAN (Y.M.C.A.)(西城秀樹)

 説明などいらないだろう。この歌詞があればいい。

 「ゆううつなど吹き飛ばして、君も元気出せよ」イエッサー、ヒデキ!

だいじょうぶマイ・フレンド(広田玲央名)

 1983年にあった同名映画の主題歌。

 「だいじょうぶ、マイフレーン……」という若き日の広田玲央名の繊細にもほどがある歌声は「本当にだいじょうぶ?」と念を押したくなる弱弱しさだが、それもいい。

 加藤和彦楽曲は、風のように優しい。

人生いろいろ(島倉千代子)

 サビの「♪人生いろいろ~」の間に「いろいろ!」と腹立ちまぎれに合の手を入れるのもいい。

 「もう本当にいろいろあり過ぎて大変だよお千代さん!」と画面の向こうの島倉千代子さんに愚痴を吐くのもいい。

 自宅では何をしようが自由だ。

~アンコール 夢で逢えたら(吉田美奈子ほか)

 「愛しい人に会えない時は、瞼を閉じて姿を思い浮かべましょう」という意味の歌詞にレッツ胸キュン。

 鈴木雅之さんバージョンも最高である。

 ちなみに鈴木雅之さんはシャネルズでのデビューから40周年だ。ヨッシャ夢で逢ってお祝い言ってくるわ。 「鈴木さん、おめでとう!」

 ああ、夢って、妄想って、本当に自由!

~フィナーレ いい湯だな ビバノン・ロック(ザ・ドリフターズ)

 ドリフターズの横揺れは、ノスタルジィと不思議な希望をくれる。

 志村けんさんの突然の訃報は、まだ信じられない。しばらく「嘘のようで、よくわからない」。そんな感じでいると思う。

 小さい頃から、ずっとドリフで笑顔になった。いや、ヘン顔になった。だって腹を抱え涙を出すくらい笑うから、もうとんでもない顔になってしまうのだ。

 今でもドリフを聞くと自然と口角が上がる。そして曲が終わった直後から、来週が楽しみになるのだ。なんてすごい笑いの力なのだろう。 レコードジャケットに志村けんさんは映ってはいないが、これを聞いている人の脳内には、その姿が鮮明に浮かんでいるはず。

 さあ、今、これを読んでくれているあなたの手には、エアー金銀のポンポン。一緒に揺らしましょう。ばばんばばんばんばん! はびばどんどん!

 歯磨いたか? 手洗ったか? お風呂ゆっくり入ってね!

 笑う門には幸せがある。音の横には楽がある。また、お会いしましょう!

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2020.04.21(火)
文=田中 稲