忙しい女性たちの 胃腸疲れを取って断食へ

 東洋医学では、胃腸の不調は全身の不調につながるといわれます。

 肥満もそのひとつ。

 特に忙しく働く現代の女性には、胃腸が疲れている人が多いとか。

 「多忙でストレスが多くなり、緊張した状態が続くと、人間の心と体はリラックスを求めます。

 そこで現代人の多くは、飲食に走ってしまう。

 おいしいものを食べて、お酒を飲んでリラックスしようとするわけです。

 結果、胃腸に過剰な負担がかかり、気・血・水(エネルギー、栄養、うるおいなど)の巡りがさらに悪くなって、首や肩の凝り、生理痛、PMS(月経前症候群)、肥満などへつながっていきます」

 そんな体をリセットするために、関口先生が推奨しているのが、鍼灸と、ファスティング(断食)を組み合わせる方法。

 「鍼灸で気・血・水の流れを整え、ファスティングで胃腸を休ませる。

 すると、食べ物の消化や吸収にかかりきりだったエネルギーを、体の修復に向けることができます。

 ただ、ファスティングで体が急に飢餓状態になると、空腹やだるさ、ふらつき、頭痛などの症状が起こりやすく、そこで中途半端に食べてリバウンドする人も多い。

 これを避けるために、体の状態に合わせて鍼灸やマッサージをし、心身をリラックスさせることで、無理なくファスティングできるように導きます」

 体が緊張し交感神経優位になると食欲は増しますが、リラックスして副交感神経優位になると、食欲は自然に落ち着き、胃腸の働きもよくなります。

 「施術直後はみなさん、まさにそういう状態。

 食べたり飲んだりもやろうと思えばできるけど、どちらかというと『このまま眠りたい』というかたが多いですね。

 リラックスするって、そういうことです」

 体重的に問題がなくても、イライラしがちで過食傾向があるなら、リラックスが足りないサイン。

 定期的な施術でリラックスし、体のバランスを整えることは、日々のパフォーマンスの維持や向上にもつながります。

2020.06.08(月)
文=伊藤由紀
撮影=佐藤 亘