人気Web漫画『生理ちゃん』が実写映画化されました(単行本はKADOKAWAから発売中)。女の月のもの=月経を擬人化(!)した『生理ちゃん』は、現代女子たちが日々どんな気持ちで生理を迎え、生活の中で折り合いをつけているかがリアルに綴られています。
映画は、ワーカホリックな編集者の青子(二階堂ふみ)、彼女の働く会社で清掃員をしているフリーターのりほ(伊藤沙莉)、青子の妹で受験生のひかる(松風理咲)という3人の女性の群像劇になっていて、原作ではなんのつながりもなかった3つのエピソードがうまいことアレンジされていました。
*編集部注……この記事はネタバレを含みます。
映画の中心を担う青子は、シングルファーザーの久保と恋愛中。彼からのプロポーズを機に、久保の子供で思春期真っ最中のかりんと距離を詰めようとするものの、「あんたらは毎日セックスしてんの?」と挑発的な態度を取られて玉砕。
難しい恋愛に悩む中、仕事ではパワハラ上司と頼りない後輩に振り回され、公私ともにヘロヘロ……。でもそんなことはお構いなしに、“生理ちゃん”は毎月、青子のもとにもやってくる。
そんな仕事と結婚というアラサー女子ならば誰もが一度はぶち当たる問題と、日常の生理の憂鬱を鮮やかに紹介した冒頭。試写室にいた女性たちの目は「だよね」「わかるわ」と慈愛に満ち、仏のような顔になっていました。
ちなみに作者の小山健さんは男性で、映画版の監督と脚本を担当したのも男性です。
抗がん剤の影響で
「生理がなくなるかも」
腹にグーパンかましてくるやつ。腰にのしかかってくるやつ。眠り薬を仕込んでくるやつ――“生理ちゃん”のタイプは人によって本当に千差万別です。
私の“生理ちゃん”は慎ましい人でした。悪さをしでかすこともほぼなく、あっさりしたタイプで付き合いやすかったです。……と過去形になっていますが、私は生理ちゃんと先月さようならしました。
そもそも昨年35歳で大腸がんが発覚した自分は、先日までしていた抗がん剤の影響で「生理がなくなるかも」と言われていました。
がんになっただけでもショックなのに、生理までなくなるんかい!
弱り目に祟り目とはこのことでかなり動揺しましたが、それはつまり、「妊娠できなくなるかもしれない」ことと同義だったからにほかなりません。
焦って受精卵を凍結し、生理との永遠の別れを覚悟して抗がん剤治療を開始……したのですが、私の慎ましい生理ちゃんは治療中も休まず、毎月わたしのもとにやってきました。
生理になってこんなに嬉しかったのは、後にも先にもこれっきりだと思います。
2019.11.17(日)
文=小泉 なつみ