ひとり旅での寂しさや不自由さをちょっとした心遣いでカバーしてくれるのが温もりのある宿。昔ながらの佇いに懐かしさを感じて。
丁寧に出汁を取った料理が
しみじみとおいしい
●割烹旅館 海喜荘
(大分・国東市)

割烹料理店として1922年に創業した「海喜荘」は、国東半島の海辺に佇み、地の豊かな恵みをじっくり楽しめる宿。
大正時代に建てられた本館は、伝統と歴史を感じる上質な造りで、今の時代だからこそ新鮮に感じる。

離れは「静かで、自然と調和する時間を過ごせるのがお気に入り」(中村さん)との言葉通り、中庭や海を眺めながらくつろげるのが魅力。
大正ロマン風の和室が郷愁を誘い、田舎に帰ってきたかのような安堵感に包まれる。

宿を切り盛りするのは、2代目女将の高野英子さん。
「小さな宿なので、ゆっくりしてもらうことしかできないけれどね」という、控えめな人柄や、肩肘張らないおもてなしに心がゆるむ。

「新鮮な地の魚がおいしく、とくに名物のタコが絶品」(推薦人:中村孝則さん)と絶賛する夕食は、国東半島周辺で獲れる魚介が中心の会席料理。
丁寧に出汁を取り、地元食材をたっぷり使った料理はしみじみとおいしい。
4月までは国東のブランド牡蠣「くにさきオイスター」も味わえる。
豊かな食で満たされたあとはお風呂へ。窓からは豊後灘からの海風がそよぎ、ひとりの静かな時間が流れていく。
割烹旅館 海喜荘(かいきそう)
所在地 大分県国東市国東町鶴川452
電話番号 0978-72-0059
宿泊料金
◆1室1名利用時の1名最低料金 (平日) 15,000円~、(休前日) 17,000円~
◆1室2名利用時の1名最低料金 (平日) 13,000円~、(休前日) 15,000円~
※すべて税込
ひとり料金 1泊2食付き 15,000円~(税込)
ひとり対応 通年可
客室数 10室
食事 朝:食事処/夕:部屋
チェックイン 16:00/チェックアウト 10:00
交通 大分空港より車で約15分
https://kaikisou.com/
●推薦してくれたのは……
中村孝則さん
コラムニスト。ファッションなどをテーマに、雑誌や新聞、テレビにて活躍中。「世界ベストレストラン50」の日本評議員長。ベスト・オブ・コロンビア大使。
※宿泊料金は、とくに表記のない場合は、税金・サービス料別の最低料金を記載しています。入湯税は含まれている場合もあります。詳しくは施設にお問い合わせください。
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「ただいま」と
言いたくなる宿3選
2019.01.26(土)
Text=Chiaki Tanabe(Choki!)
Photographs=Hiroshi Mizusaki
CREA 2019年2・3月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。