素敵な(?)空き巣役を演じた最新作
――そのほか、濱田さんのキャリアのなかで、転機になった作品はありますか?
やっぱり『アヒルと鴨のコインロッカー』ですね。中村(義洋)監督との初めての出会いの作品でもあるし、事実「あの作品が大好き!」と言ってくださる方がいまだにいますし、同じ役者の人からも「あの作品は良かったね」と言ってもらえるようになった。それに公開された当初、世間一般に広く知られた作品というわけではないですが、自分が名前と顔を覚えてもらえることになった作品ですから。あの作品以降、僕の環境は変わりましたし、キャリアのなかではハズせない作品ですね。
――中村監督のお話が出たところで、最新作『ポテチ』のお話もお願いします。濱田さんが演じられた今村は空き巣の設定ですが、空き巣役を演じることはいかがでしたか?
空き巣とはいえ、何もとってはいないんですよね(笑)。ただ作品全体で考えると、空き巣というより、ドが付くほど純粋というか、バカが付くほどまっすぐというか、そんな一人の青年が巻き起こす事件でもあるので、そんな彼の素敵な部分を汚さないように心がけましたね。空き巣ばかりを意識してしまうと、「必殺仕事人」のようなまた別の作品になってしまいますからね(笑)。
夢が叶った中村監督との“共演”
――本作には中村監督が“親分”役で出演し、濱田さんと共演されていますが、先ほど「転機を迎えた作品」と言われていた監督と共演するのはいかがでしたか?
あの共演シーンは、僕らの普段通りであったりするんですよね。いつもあんなような感じなんですよ(笑)。『フィッシュストーリー』の頃から、片方が吹き矢を吹いたふりをして、もう片方がいかに上手く死ぬか、という遊びをやっているんです。これって、考えようによってはエチュードですからね(笑)。それに、以前2人で『ブルース・ブラザース』の話をずっとしていたときがあって、なんか2人であんな飄々としたコメディやってみたいですねぇ、と盛り上がったんですよ。そのときは、自主映画レベルでやりたいと思っていたんですが、今回そんなもんじゃない規模で共演することになった。そういう意味では、僕たちの夢が叶ったシーンでもあるんですよ。
――ちなみに、濱田さんにとって中村監督はどんな存在ですか?
監督というよりある意味では友人みたいな関係ですし、気心知れてる関係だけに手を抜いたらすぐにバレてしまう。そういう意味では、いちばん怖い監督かもしれませんね。『アヒルと鴨のコインロッカー』からこないだ撮った『みなさん、さようなら』まで、5本の映画でお仕事してきて、また監督の作品をやるかもしれないけど、その間、僕がちゃんとしてないと使ってもらえないじゃないですか。仲良しなのに、どこか緊張してしまう……なんか変な感じです。
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2012.05.12(土)
text:Hibiki Kurei
photographs:Mami Yamada
styling:Norihito Katsumi(Koa Hole inc.)
hair&make-up:Misato Ikeda