優しい味わいの和のおやつがいろいろ
亜希子さんが毎日手作りするのは、おはぎにどら焼き、あんスコーン。「あんこは、小豆が持っている独特の風味を生かすよう工夫して炊いています」
「おはぎ」は、5種類です。
「くるみ白あん」は、クルミの粒々感と香ばしさが印象的。優雅な味わいです。「青のり」は、塩味が際立ち、潮や海を感じさせる一品。「黒ゴマ」は、しっかりとしたゴマの風味と香ばしさで、どこか懐かしい味わい。「黒豆きなこ」は、黒豆のきなこの香ばしさが口いっぱいに広がります。「小豆つぶあん」は、もっちりした餅米の食感とあんこの粒々感を堪能。あっさりした甘さが小豆の風味を引き立てます。
ひとつひとつ手で丸められた、ゆるい歯触り。手作りならではの優しさに、ほっこり心癒されます。秋には、さつまいもあんのおはぎも登場するとか。
「どら焼き」は、納得のいくものができるまで、とても苦労したそう。「気温によって、生地の状態が全然違ってしまう。ふわふわにしたくて泡立てすぎてもダメなんです」。蜂蜜入りのしっとりした生地とそれぞれの餡とのバランスが絶妙。
「あんず白あん」は、杏の蜜煮を刻んで白餡に混ぜてあり、杏の爽やかな酸味がポイント。「小豆つぶあん」は、定番の小豆の粒あんがたっぷりサンドされています。
亜希子さんがお店を始める前から作っていて、自身も大好きだという「あんスコーン」は、2種類。生地には、バターではなく米油を使用。「あんこをたっぷり混ぜ込みました」と亜希子さん。温めずにそのままでおいしい。「小豆あん」は、噛む程に、ふんわり小豆の香り。「抹茶白あん」は、抹茶と白餡で、和風の味わい。日本茶はもちろん、和紅茶にも合わせてみたいスコーンです。
季節限定で、「いちご大福」や「さくら餅」も作ります。「いちご大福」は、白あんと小豆つぶあんの2種類があり、イチゴの酸味と餡の甘さのバランスが抜群。
「さくら餅」は、4月末まで。桜の葉の塩漬けの程よい塩味がアクセントの、春を感じる一品です。
くるみを皮に混ぜ込んだ「くるみ大福」なども作ります。どれも、その日のうちに食べたい優しい和のおやつです。
「山椒もち」は、店の斜め向かいにある乾物屋さん「うおくに商店」からの注文で作り始めたもの。求肥生地に混ぜ込んだ山椒がピリッと辛い、爽やかなお餅。一度食べたら忘れられなくなる印象的な味の、隠れた定番商品です。
「ここでお店をやろうと決めたのは、実は、うおくに商店さんがあるからというのも大きかったんですよ」と亜希子さん。使用している素材のほとんどを購入。その素材の持ち味を生かして、お菓子を仕上げています。
「グラノラ」は、オーツ麦にたっぷりの小豆餡を混ぜ込み、カリッと焼き上げました。牛乳やヨーグルトをかけず、そのまま、おやつとしてつまむというファンも多い。
「ひとつひとつシンプルに作った、日持ちのしないおやつです。食べて、ちょっと安らかな気持ちになってもらえるとうれしい。おいしいお団子も作りたいですね」と亜希子さん。
夏は、つばきやさんらしい、かき氷が登場するかも。和のおやつで、ほっこり幸せなひとときを。
右:入り口右側の看板横には赤色の椿。
和のおやつ つばきや
所在地 兵庫県神戸市中央区中山手通3-12-15-101
電話番号 078-384-2871
http://tsubakiya-kobe.com/
宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2018.04.08(日)
文・撮影=そおだよおこ