「気持ちで芝居する」ことが分かった瞬間

――その後、転機となった作品があれば教えてください。

 12年に出させていただいたミュージカル「エリザベート」ですね。本番が5カ月間あったことも大きいですが、以前に映画のスクリプターさんから大事だと言われていた「気持ちで芝居する」ことの意味が、この舞台中に理解できたんです。これを機に、セリフの出し方が大きく変わったと思いますし、お芝居に対する考え方も変わったと思います。その翌年には蜷川(幸雄)さん演出の「ヴェニスの商人」に出させていただいて、さらに学んでいくことができました。それだけ舞台の影響が大きいと思いますし、映像のお仕事だけをしていたら生き残れていなかったと思います。

――14年から3シリーズにわたって放送された「三匹のおっさん ~正義の味方、見参!!~」での北大路欣也さんの孫役も印象的でした。

 北大路さんとは『インシテミル~』から3年ぶりの再会だったんですが、「人って、3年という短い期間で、こんな成長できるんだね」と仰ってくださったんです。芝居のアドバイスというよりも、そう言ってくださったことが嬉しかったです。反抗的な孫という役柄的にも、躊躇なくフッ切れたお芝居が出来ましたし、それができるようになった自分も嬉しかったんです。たくさん勉強させていただいた現場でした。

――16年、東京制作の「とと姉ちゃん」に続いて、17年、大阪制作の「わろてんか」ではキース役で出演されますが、NHKの連続テレビ小説において、東京と大阪の違いは感じますか?

 「とと姉ちゃん」のときも青柳清という、視聴者のみなさんの印象に残りやすい奇抜な役をやらせてもらったんですが、今回のキースもめちゃめちゃ楽しかったですね。東京撮影と大阪撮影の違いは、撮影後に家に帰るか、ホテルに帰るかの違いだと思うんですが、大阪滞在だと共演者の方と飲みに行くことが多いんです。よりチームとして仲良くなれますし、これは素敵なことだと思いました。

2018.03.23(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘