顕微鏡レベルの卵から
育てられたカンパチ

「ブルー・オーシャン養殖場」の中心スタッフのおふたり。後にある簡素な建物が事務所だ。

 コーヒー、牡蠣に比べて、もっと大がかりで最新のテクノロジーを駆使しているのが、カンパチの養殖場だ。コナの街外れにある広大な敷地に大きなタンクがずらりと並んでいて、目の前の海に生け簀がある。計画中の見学ツアーを、ひと足先に取材させていただいた。

 養殖場を経営するのは「ブルー・オーシャン養殖場」という、2009年に設立された地元ハワイ島の会社。ここは、アメリカで唯一の海洋養殖場でもある。

広大な敷地にテントスタイルの施設が並ぶ。

 ここでは、受精卵の採取から始まり、温度や水質が管理されたタンクと沖合の生け簀の両方を使い、収獲までを一貫して行う。地元ハワイの文化、海の水質環境、他の生き物たちとの共存を尊重して、持続可能な養殖を目指しているのだ。

こんな小さな受精卵から成魚へと育てていく。

 まずは事務所でおおまかな養殖の工程を聞き、実際の施設へ。顕微鏡で受精卵を見ると、こんな小さな卵からあんなに大きなカンパチに育つだなんて、にわかには信じがたいギャップを感じる。

幼魚の生育のためのタンク。

 卵の先の工程では、すべてテントの入り口で靴の裏を消毒液に浸してから中へ。衛生管理が徹底しているのだ。多少濡れても大丈夫な靴、サンダルなどを履いていくといい。

 最初のテントでは肩の高さくらいのタンクが並んでいた。ここで幼魚を育てるという。私たちが見学したタイミングはちょうど移動した後で、幼魚の姿を見ることはできなかった。カンパチたちは、生育状況によって常に場所を移動しているのだ。

沖合の生け簀に移す直前の成魚が入っているタンク。
タンクの横には中のカンパチの様子を確認できる窓がついている。

 沖合の生け簀までは見に行くことはできないが、その手前の段階のタンクを見学させていただいた。タンクの横にある小さな窓から、中のカンパチを見ることもできたし、餌やりも見せてくださった。なかでも、餌に向かって突進するカンパチの、迫力ある泳ぎっぷりにはびっくり!

餌やりはもの凄い迫力!

 そして、リゾートに戻って試食。どんな料理に姿を変えるのか楽しみだった。

 まずは、アボカドの上に載ったカルパッチョ。ディルとナッツの香りと食感がカンパチを引き立てている。次はグリル。味噌の風味がカンパチにピッタリだ。

左:カンパチのカルパッチョ。アボカドとの相性も抜群だ。
右:味噌を使ったカンパチのグリル。こちらも脂が乗っていて美味しい。

 あの卵がこんな美味しい魚に育ったのだと思うと感無量。卵からタンク、海、食卓を経て胃袋へ。魚の一生を早回しで見てきた、楽しい1日だった。

Blue Ocean Mariculture
(ブルー・オーシャン養殖場)

所在地 74-429 Kealakehe Parkway, Kailua-Kona, Hawaii
電話番号 808-331-8222
http://www.bofish.com/

Four Seasons Resort Hualalai
(フォーシーズンズリゾート フアラライ)

所在地 72-100 Ka‘upulehu Dr., Kailua-Kona, Hawaii
http://www.fourseasons.com/jp/hualalai

【取材協力】
ハワイアン航空

http://www.hawaiianairlines.co.jp/

たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航150回超・70カ国超、海外スパ取材250軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)は4刷で、台湾・中国にて翻訳出版、第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』も中国で出版された。『ファーストクラスで世界一周(仮題)』近日刊行予定。
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