一生ものになりうるコスメはいかにして生まれたか? 美容ジャーナリスト歴四半世紀の渡辺佳子が直撃取材!

 “コスメ職人 情熱大陸”と題して、4回にわたって職人・開発者たちの情熱をお届けします。

 今回は第3回 メナードの美白研究です。

先端医療に迫るスピード感! メナードが誇る幹細胞研究

 幹細胞という肌の起源に関する研究を続けているメナードからは独自の研究を応用した美白製品が発売になるとのことで、研究所の長谷川靖司さんに詳細を伺いに。

対談の写真:左から長谷川靖司さん(メナード 主任研究員)、渡辺佳子さん(美容ジャーナリスト)

「幹細胞研究は元々再生医療の範疇で、傷を治す特殊な細胞があるのではないかという仮定に基づく研究でした。皮膚に関しては表皮、真皮、皮下組織すべてに幹細胞があることがわかったのが01年。翌年、国内でも日本再生医療学会が発足、当社では03年からこの分野の研究を本格的にスタートさせました」

 まず着手したのは肌から幹細胞を取り出すことだったのだという。

「米国から機械を導入して、肌内に混在するさまざまな細胞から幹細胞だけを取り出す技術の開発に成功。次に、採取した幹細胞についてDNAやタンパク質の解析を行い、ついに05年に『幹細胞が肌を再生する能力を持つ』ということを解明したのです」

 その成果を活用したスキンケアはすでに08年に発表済み。今回は、同じアプローチを美白の分野にも応用してみようという挑戦だった。

「ご存じのように、メラニン色素を生成するメラノサイトは、肌の奥の基底層にあります。では、それはどこから生まれてくるのか? これは長年の疑問でしたが、近年、毛包の奥の『バルジ』というエリアに、色素幹細胞が存在することがわかってきました」

 神秘的~それが色素の起源!!

「はい。それが『メラノブラスト』という細胞になり、さらに成長してメラノサイトとなります」

 そこで研究所では、色素幹細胞をシャーレの中で育て、何と、人工的にシミを作る実験をしたという。シミはどれくらいの期間でできるものなのだろう?

「シャーレ内では2~3週間です。その間、観察していくと非常に興味深い発見があったのですよ。それは『育ったメラノサイトには、それぞれメラニン色素を作り出す能力に差がある』ということです」

 え、それはすごい発見!

「そうなんです。観察の結果、メラニン色素を作る能力を身につけるのは、メラノブラストになった後とわかりました。そこからメラノサイトになる過程で、正常な量のメラニンを作るメラノサイトと、過剰にメラニンを生成するメラノサイトに分かれていったのです」

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2012.03.21(水)
text:Keiko Watanabe
photographs:Nanae Suzuki / Hirofumi Kamaya

CREA 2012年4月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

一生もの美容

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