世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第157回は、小野アムスデン道子さんがアメリカ合衆国西部の3州を旅します!

ユタ州の擁する国立公園は
見事なアーチなど絶景の宝庫!

朝日に照らされるタレットアーチの大きさにまず驚く。

 アメリカを旅する目的の一つが、圧倒的な大自然や絶景をめぐること。

 アメリカでは、国立公園制度の下、国立公園局がすべての国立公園に加え、多くのナショナル・モニュメントなどを管理しており、トレイルやビジターセンターなども整備されている。実は国立公園を最初に作った国がアメリカ。1916年、ウッドロー・ウィルソン大統領が国立公園局設置法に署名したのがその始まりだ。

まるで壁のように、地層がむき出しで見える。

 ユタ州にある国立公園は、モニュメント(記念物)と名がつくそそり立つ岩山やむき出しになった何億年も前の地層、数々のアーチなど、息を呑む景観ばかり。なかでも今回は、コロラド州にも近く、自然が生み出す2000を超える見事なアーチの絶景が見られるというアーチーズ国立公園を訪れた。

 現地を訪れた1月下旬の日の出は7時ぐらい。朝日に輝くアーチを見るために、最寄りの町モアブにあるホテルを朝の6時半には出て、アーチーズ国立公園に向かう。まずは、代表的なウィンドウズ、タレットアーチ、ダブルアーチなどのあるウィンドウズセクションというエリアを目指す。

左:中央の岩には、スリーゴシップスという名前がつく。ひそひそ話の3人? 確かにそんな風にも見える奇岩。
右:角度によって見え方が違うが、頭が落ちそうなのには変わりないバランスロック。

 途中の車窓からは、赤茶けた砂岩の大地が気の遠くなるような時間をかけて風化してできた奇岩が見える。そして、どうやって上の岩が落ちずに立っているかが不思議なバランスロックを通り過ぎて、しばらく行くと、いよいよウィンドウズセクションだ。

 アーチーズ国立公園のアーチやウィンドウは、遠目には小さく見えても近づくとその大きさに驚かされる。

左:アーチをくぐっていくと岩場にへばりついて撮影している人達が。
右:なるほどこの絶景を撮るためだったのだ。

 まずは“やぐら”を意味するタレットアーチをくぐると、アーチの下に朝日が当たってどんどん色が変わっていく。地形と太陽の光が織りなす芸術を見ているようだ。さらにノースウィンドウをくぐって振り返ると、そこにはアーチの向こうにアーチが見える絶景が!

自然の造形の妙、ダブルアーチは下の岩場によじ登るのもたいへん。
今は崩落の恐れがあるのでランドスケープアーチは渡れないが、以前は自転車で渡った人も。

 その後、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のロケ現場でもあったダブルアーチや、全長約90メートルもあってまさに“橋”という感じのランドスケープアーチなどを見て回ると、もう太陽が頭上に輝く時間になっていた。

Arches National Park
(アーチーズ国立公園)

電話番号 435-719-2299
https://www.nps.gov/arch/

アメリカンな量の手作りパテのハンバーガー。「モアブダイナー」にて。

 モアブに戻って、「モアブダイナー」でアメリカらしいオールドファッションなランチの後、コロラド州へ向う。

 モアブは、ソルトレイクシティから車で約4時間、アーチーズ国立公園のほかキャニオンランズ国立公園への唯一の基点ともいえる町。隣町まではとても遠く、町の宿泊数も限られているので、早めに予約をするのがよさそうだ。

Moab Diner
(モアブダイナー)

所在地 189 South Main St., Moab, UT 84532
電話番号 435-259-4006
http://www.moabdiner.com/

2017.05.16(火)
文・撮影=小野アムスデン道子