星野リゾート トマム (後篇)

 日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」。「星野リゾート トマム」の後篇では、-20℃だから実現できた驚きの氷の世界「アイスヴィレッジ」と、スノーリゾートならではのアクティビティを紹介します。

幻想的な美しさのアイスホテルとは?

「バー アイスウッド」は、まさにアンデルセンの『雪の女王』の世界!?

 -20℃を記録することもある「星野リゾート トマム」。その寒さがあるから建造できたのが「アイスヴィレッジ」という氷の街。ここには、氷でできたドーム型の店舗が並び、氷の教会や氷のホテル、氷の滑り台にスケートリンクも。オープンするのは毎日17時から22時(最終入場は21時半)。夜なので、夕食後に来るゲストも多い。

日が暮れたらオープンする「アイスヴィレッジ」の幻想的な美しさは異次元もの。

 氷のゲートをくぐってしばらく歩くと見えてくる「アイスヴィレッジ」。漆黒の夜にクリスタルな輝きを放つ街が浮かび上がる、幻想的な眺めにまず見入ってしまう。

 もちろん吐く息が白くなるほどの寒さだが、「寒い」というよりは「冷たい」という感じ。氷を触っても、手が濡れない。滑り台を滑ってもほとんどお尻は濡れない。この気温なので、氷が溶けないのだろう。この感覚自体が新鮮だ。

テーブルも椅子もグラスもすべて氷の「バー アイスウッド」。
「氷の花屋」で売られている花は氷の中。お部屋に持って帰ると徐々に溶けてよい香りが出て来るのだとか。
「北国雑貨店」では、北海道のクラフト作家の作品を買うことができる。北欧で使われているような木製のカップが人気。

 氷のストリートに並ぶのは9つの専門店。氷のグラスでカクテルが楽しめる「バー アイスウッド」、シチューが味わえる「アイスダイニング ホワイトポット」、かわいい「スノーマシュマロファクトリー」や「ホワイトショコラトリー」、氷の中に閉じ込められた花の美しさに見とれる「氷の花屋」など、バラエティに富んだラインナップだ。

氷でできた教会は、十字架やバージンロードが青い光を放つ。

 継ぎ目のない一枚の氷でできた「氷の教会」は、美しくも荘厳な感じが漂う。実際にここでは結婚式も行われ、花嫁花婿は氷のバージンロードの上を歩く。

氷のドームの中で零下の宿泊を体験できる「氷のホテル」。

 そして、「氷のホテル」も一枚氷のドームで、中のベッドやテーブルもすべて氷。-14℃以下の夜が連続して3日以上続かないと作ることが難しいのだという。

 中に入ると、-6℃前後ということで、意外とほんのり暖かく感じる。ここは宿泊体験の場所なので、チェックインは23時から。今年初めてお目見えした氷の露天風呂「アイスインフィニティ」を満喫したり、-30℃まで対応可能なシュラフにくるまったりして朝まで過ごすことができる(1日1組2名限定/1名20,000円)。

 ここでの宿泊体験は、リゾナーレトマムまたはザ・タワーの宿泊客が対象となる。

氷に囲まれた熱い湯があふれるバスタブ。一面の氷を見渡しながら湯に浸かる。

2017.01.29(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵