世界一短いケーブルカーで丘の上へ
ザグレブには世界一短いケーブルカーがある。その長さはたったの66メートルで、所要時間は55秒、高低差は30.5メートルだ。時間帯により5~8分間隔で運行している。すぐ隣にある階段を歩いて上っても5分程度で同じ場所に行くことができるので、運賃を節約したければ階段を上ればいい。でも、その短さも楽しいというもの。早速乗ってみた。
右:ケーブルカーの中には、ベンチスタイルのイスが16人分ある、定員は28人だ。
このケーブルカーは、今から120年以上前の、1890年に造られた。当初は蒸気機関で動いていたが、1934年に電気モーターに変わったのだという。動力は変わってもケーブルカー自体は創業当時のままだという。ふたつの駅は1970年前後に改装されている。今では人気の観光名所だ。
ケーブルカーを降りてすぐ右に行くと、ザグレブの街を一望することができ、ザグレブ大聖堂(聖マリア被昇天大聖堂)の鐘楼が際立って高いのがよくわかる。
ダウンタウンから上った先にあるのは、「アッパータウン」と呼ばれる旧市街。ひときわ古い街並みは、歩いているだけでも楽しむことができる。
旧市街は、中世にはカプトルとグラデッツというふたつの町に分かれていた。ザグレブ市の一部として統合された今でも地名としてその名前は残されていて、カプトルの中心にはザグレブ大聖堂があり、グラデッツの中心には聖マルコ教会がある。
右:マリア像は鉄柵で守られている。ひとりで祈りを捧げる人がいた。
2016.12.20(火)
文・撮影=たかせ藍沙