ザグレブの郷土料理はどんなお味?

2本の鐘楼がそびえるザグレブ大聖堂。その右側にあるオレンジ屋根の建物は、13世紀初頭に建てられた聖スティパン礼拝堂。

 市場のすぐ近くにはザグレブ大聖堂(聖マリア被昇天大聖堂)がある。カトリック教会で、再建の度に姿を変えてきた。

 最初の建物は1094年から建設が始まり13世紀末にゴシック様式で完成した。その後、オスマン・トルコ軍の侵攻によって破壊され、17世紀に再建された際に聖堂はバロック様式となった。現在の大聖堂は、1880年の大地震被害後に再建されたもの。オーストリアの建築家の手によるネオゴシック様式だ。

大聖堂の前では、花売りの男性とシスターが歓談していた。

 正面にあるふたつの鐘楼の高さは105メートルで、街のどこにいても見えるほど。ザグレブの街の象徴ともいえる。市民の間では、ほんとうに105メートルなのかどうか、議論されることもあるのだとか。いずれにしろ、クロアチアでもっとも高い建造物で、もっとも有名な建物であることは確かだ。

大聖堂の中ではミサが行われていた。外観も美しいけれど、内装はステンドグラスを通した柔らかな光に包まれて息を呑むほど素晴らしい。
聖母マリアが描かれた絵の前にろうそくを灯して祈る人々。

 中に入ると、ちょうどミサが行われていた。神父さんの話に聞き入る人、ろうそくを供えて祈りを捧げる人。荘厳な大空間で、大勢の人々が神に祈っている……。ここにいるだけで、敬虔な気持ちにさせられる。

「レストラン・ヴィノドル」では、クロアチアの郷土料理を食べることができる。暖かな季節にはテラス席も気持ちいい。

 ランチは旧市街を離れ、ダウンタウンにある「レストラン・ヴィノドル」へ。ザグレブの郷土料理をいただくことができるレストランだ。

ベテランウェイターの皆さんはとってもフレンドリー!

 ビジネスマン、家族連れ、観光客と、様々な人々でにぎわっている。店内に180席、テラスに100席もあるが、ほぼ満席という人気ぶりだ。テラス席はビニールカーテンで覆われて暖房が入っていたが、暖かい季節にはオープンエアで気持ちよさそう。

 クロアチアは細長い国で、地方ごとに、近隣のイタリア、トルコ、オーストリア、ハンガリーの影響を受けた料理がある。クロアチア料理は、2013年に「地中海料理」としてユネスコの無形文化遺産に登録された。もともとギリシャ、イタリア、スペイン、モロッコの料理として2010年に登録されていたものに、ポルトガル、キプロスとともに追加登録されたのだ。

手前右のお皿の中央に載っている細長いフライが、ザグレブ名物仔牛のカツレツ。スライスした肉でチーズをロール状に巻いてある。左は焼いた仔牛の上に郷土料理の煮込み「ペカ」を載せたもの。どれもボリュームたっぷり。

 オーダーしたのは、ザグレブ風仔牛のカツレツ、クロアチアの煮込み料理「ペカ」など。デザートにはクロアチア北部名物のパイ、「シュトルクリ」を。お料理ではないけれど、メインの前に食べたルッコラのサラダもすこぶる美味しかった。食材そのものの味がしっかりしているので、シンプルなものも、時間をかけた料理も、どちらも美味しくいただけるのだ。

「シュトルクリ」は、中に入れる食材によって料理にもデザートにもなる。写真はドライフルーツが入っている甘いデザートのほう。

Restoran Vinodol
(レストラン・ヴィノドル)

所在地 Teslina 10, 10000 Zagreb
電話番号 01-4811-427
http://www.vinodol-zg.hr/

2016.12.19(月)
文・撮影=たかせ藍沙