昭和こそがサードウェーブの黄金期だった?

左:2020年を前に、「東京五輪音頭」が再び脚光を浴びることは間違いない三波春夫。「お客様は神様です」なるパンチラインは強烈だ。
右:「笑点」の3代目司会者としても知られる三波伸介。戸塚睦夫、伊東四朗との「てんぷくトリオ」でも一世を風靡した。

 そう、三波春夫と三波伸介である。名前がサードウェーブなのだから。

 ということで、俺の夢みるサードウェーブカフェでは常に、三波春夫の「世界の国からこんにちは」「チャンチキおけさ」「俵星玄蕃」が天井に据え付けられたBOSEのスピーカーから流れ、壁に架けられたBang & Olufsenのモニターには「三波伸介の凸凹大学校」「スターどっきりマル秘報告」「減点パパ」が映し出されている。

弊社こと文藝春秋の西館1階には「ラウンジ春秋館」というカフェが入っている。本文とは特に関係ないが、今回の記事、写真が少ないので載せておく。このコラムが公開される頃には、ハロウィンの飾り付けは撤去されていることだろう。間が悪いな。

 話は変わる。俺がこの号において評価したいのは、特集名に“カフェ”ではなく“喫茶店”という言葉を使っているところ。喫茶店を安易にカフェと言い換えた途端に、何かこぼれ落ちてしまう大事なニュアンスがあるということを、CREA編集部はよくよく承知している。

 例えば、とある業態の喫茶店を、“ボトムレスカフェ”と言い換えてみる。読者諸姉はこの言葉を耳にして、どんなお店を連想するだろう?

 ポートランドはたまたブルックリンあたりが発祥の、それこそサードウェーブ系のカフェだろうか。だいたい、ボトムレスカフェは、「ブルーボトルコーヒー」とも語感が似ているじゃないか。白が基調の内装に北欧の家具があしらわれた空間を満たすのは、代官山の「ボンジュールレコード」あるいは青山の「スパイラルレコーズ」に並んでいるような音楽だろうか。そして、グルテンフリーのヘルシーなフードも提供されているだろうか。

 えー、正解を発表します。“ボトムレスカフェ”は“ノーパン喫茶”を日本語訳したものでした!

 ノーパン喫茶について知らないあなたは、今すぐ会社の上司か実家のお父さんにLINEか何かで聞いてみよう! いや、今後の人間関係に深刻な歪みを生じる予感がするのでやっぱりやめておこう!

 とにかく、何が言いたかったかというと、“喫茶”という言葉の持つ、ノスタルジーと温かみを帯びたコージーな魅力である。ゴーゴー喫茶、ジャズ喫茶、名曲喫茶。これらをカフェと言い換えてしまったら、ずいぶんと味気ないじゃないか。

 ……とか思ったが、たった今、ペラペラと誌面をめくってみたら、いろんなところで“カフェ”という言葉が使われていたので、別にこだわりはないのかもしれない。特集名が「カフェとコーヒーがそこにある幸せ」になると、カフェとコーヒーの意味がかぶるから“カフェ”という単語を避けただけのような気がしてきた。

 ほめて損した。女性誌公式サイトとしてはかなりエクストリームかつリスキーなノーパン喫茶という単語まで繰り出してわざわざ説明してみたのに。

 以上、俺が知人の某ライターと渋谷の居酒屋「山家」で泥酔して帰宅した翌朝、持ち帰った箸袋に殴り書きされていた文字を解読して再現した妄想でした。

これが箸袋に書かれたメモだ! 別にウェブに載せるほどのものではないのだが、この記事、写真が少ないのでにぎやかしに載せておく。キャプションに書くことも特にないけれど、何か気の効いたことでも言ってみよう。……えーと、ジェイク・ハシブクロ。

 とにかく、何でもいいからCREA11月号をご購入ください!

ヤング(やんぐ)
CREA WEB編集長。理想の上司は黒江ヘッドコーチ。

Column

CREA WEB編集室だより

このコラムでは、CREA WEB編集室の日常を彩るよしなしごとを報告しつつ、CREAおよびCREA Travellerのプロモーションに励んでいきます。紀尾井町から、さわやかな風をあなたに。

2016.11.01(火)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋